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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
中村憲剛がパリ五輪代表を徹底分析「なぜ“オーバーエイジなし”でも強い?」“厳しい論調”の前評判から怒涛の3連勝「あのW杯と似た一体感」
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byTakuya Nakachi/JMPA
posted2024/08/02 17:04
グループリーグ3連勝で準々決勝進出を決めたU-23日本代表。パリ五輪開幕前の前評判を見事に覆した
東京五輪に出場したチームは、森保一監督のもとで日本代表と並行して強化されていました。「1チーム2カテゴリー」で五輪世代が日本代表で多くプレーしていたこともあり、オーバーエイジとして加わった3人にも、オーバーエイジを迎えた東京五輪世代にも、違和感はなかったでしょう。
2022年から活動してきた大岩監督のチームは、森保監督の日本代表とは別々に強化を進めてきました。東京五輪とはプロセスが違うことも踏まえて、大岩監督は「チームとして積み上げてきたもので勝負しよう」という最終判断を下したのだと想像します。
4-3-3を機能させる藤田譲瑠チマの「絶大な存在感」
では、チームとして積み上げてきたものとは何か。
まず触れるべきは4-3-3のシステムでしょう。
このシステムを成立させる前提条件の一つが、「アンカーの適任者がいるかどうか」です。DFラインのひとつ前でどっしりと構えて、ボールを刈り取る力を見せつつ、人との関わりでもボールを奪う。攻撃にも常に顔を出して周りの選手を助けながら、縦パスをズバッと刺したり、相手のプレスを剥がしたりもできる。バルセロナ全盛期のセルヒオ・ブスケッツのような選手がいることで成立するシステムで、今回は藤田譲瑠チマがその役割をしっかりと担っている。キャプテンを任されている彼が攻守両面で絶大な存在感を発揮することで、日本の4-3-3が機能していると言えます。
対戦相手からすると、日本の攻撃の場面では起点になる藤田が気になります。パスワークで彼を経由させたくないので、パラグアイも、マリも、2トップが縦関係になって藤田を消しにきました。それによって、日本のCBのどちらかにプレッシャーが届かず、ビルドアップの優位性が生まれてくるのです。
木村誠二、西尾隆矢、鈴木海音、高井幸大のCBも、パスをつなぐことができる。木村はズバッと縦パスを通せるし、高井は持ち出してパスコースを作ることもできる。藤田が相手のプレスを引きつけることで、CBのビルドアップ能力が生かされるという二次的効果が生まれているわけです。
<続く>