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「カワムラは競り合うべきではなかった」男子バスケ“疑惑の笛”に辛口フランス記者の見解は? それでも日本を賞賛「とてつもないバスケIQだ」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2024/08/01 17:35
疑惑の判定が話題になるほど、フランス相手に大きなインパクトを残した日本代表。現地記者は八村塁と172cmの河村勇輝に注目した
日本代表で印象に残った選手を尋ねた時、最初にジバーン記者の口から出てきたのは八村の名前だった。FG成功率62.5%(10/16)、3ポイント成功率60.0%(3/5)で24得点をマーク。日本のエースは中長距離の両方で力を発揮し、実際に面白いように得点を重ねていった。ディフェンス面ではウェンバンヤマのマークも任されていたことを考えれば、その働きは特筆に値する。
「ハチムラはアンストッパブルだった。私が見た中ではこれまででも最高のプレーをしており、フランスは止める術を見つけられなかった。精神面で隙が生まれることがある選手だが、それはついに訪れなかった。だからこそハチムラの退場は残念ではあった」
もともと2019年に八村がNBA入りした際からその実力を高く評価していたジバーン氏はそう述べ、背番号8のプレーが最後まで見られなかったことが心から口惜しそうだった。
“疑惑の判定”よりも目を向けるべきこと
ここで八村がコートを去ったことは、長く議論されるであろうこの試合最初の「If(もしも)」。もっとも、ジバーン氏は一部で物議を醸した2度のアンスポーツマンライクファウルによる退場の裁定は“誤り”ではないと考えている。
「FIBAのルールは馬鹿げていると思う。あれで退場になるのは不公平だし、試合の面白みを奪ってしまう。とはいえ、レフェリーは映像を確認した上でアンスポーツマンライクファウルの裁定を下したのだから仕方ない。本来ならこの時点で試合は終わりだが、日本にはそんな気は毛頭なかった。それでも前に進み続けた」
実際に第4クォーターも残り8分31秒で八村が退場になっても、日本代表の闘志は衰えなかった。最終盤まで4点リードと番狂わせの寸前まで迫り、金星はもう目の前にぶらさがっていた。ほとんど奇跡的な奮闘の立役者となったのが、この試合でゲームハイの得点&アシストを稼いだ河村だった。ジバーン記者も前述通り、今戦での八村の素晴らしさをまず認めた上で、日本の中で最も目立った選手を改めて問うと、縦横無尽の働きをみせた23歳のPGを挙げた。
「最も印象的だった選手はもちろんカワムラだ。すごいプレーをしていた。クイックネスがあり、とてつもないバスケIQを備えている。ドライブの際、どうやって身体を使えばいいかを理解している。3Pの精度もいい。フランスはカワムラにどう対処していいかわからないようだったし、見ていても楽しい選手だった」
フランスのメディアは辛辣になることも多く、ジバーン記者も普段はその傾向がないわけではないが、今戦での河村については称賛の言葉が止まらないようだった。