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「カワムラは競り合うべきではなかった」男子バスケ“疑惑の笛”に辛口フランス記者の見解は? それでも日本を賞賛「とてつもないバスケIQだ」
posted2024/08/01 17:35
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Kaoru Watanabe/JMPA
「今戦の私たちが勝利に値したのかどうかははっきりとわからない」
試合終了直後、フランス人の知人から、少々控えめながら日本の頑張りを讃えるメッセージが届いた。
男子バスケットボールの日本代表が7月30日、開催国フランスとのゲームで見せたパフォーマンスはそれほどに見事だった。
フランスの“苦戦”ではない
優勝候補の一角に挙げられた欧州の強豪と真っ向から渡り合った日本は、前半を44-49と射程圏内で折り返す。後半も八村塁、河村勇輝、渡邊雄太、ジョシュ・ホーキンソン、渡邉飛勇らの優れたプレーで、NBAでも実績ある選手たちを多数擁するフランスと一進一退の攻防を続けていった。
日本がそこまでフランスを追い詰めると思った関係者は、世界にもほとんど存在しなかったに違いない。1999年から19年にわたってアメリカで『Canal+』『BasketNews』の記者としてNBAを取材し、現在もフリーランスで健筆を振るうフランス人記者、パスカル・ジバーン氏もその奮闘に驚かされた一人だ。
「日本はチーム全体がいい動きをして、賢明なバスケットボールを展開していた。バスケIQが高く、しっかりとコーチの指示を徹底しているという印象だった。また、カワムラとハチムラの呼吸が合っており、この2人が核になっていた。フランスが勝てたのはラッキーだったと思う」
フランスが本調子ではなかったのは事実だろう。身長224cmのビクター・ウェンバンヤマをはじめ、ルディ・ゴベア、エバン・フォーニエ、ニコラス・バトゥームといったビッグネームを抱える開催国代表だが、ケミストリー不足か、日本を少々軽く見ていたのか、なかなかペースを奪えなかった。しかし、ジバーン記者は今戦は“フランスの苦戦”ではなく“日本がよかったゲーム”だと断言する。
「フランスの選手たちはコーチ陣のスカウティングレポートを尊重する姿勢が見られず、この試合前からいいプレーができていなかった。五輪前の親善試合でも、ドイツ、セルビア、カナダ、オーストラリアに敗れた。ただ――それらをすべて考慮した上でも、今回は日本の上質なバスケットボールをまず褒めるべきだと考えている」