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河村勇輝(23歳)の「フランス戦ラストプレー」は“誤審”だったのか? それでも日本の司令塔が貫く“自責思考”…意外だった「あるスタッツ」の中身
posted2024/08/02 11:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kaoru Watabe/JMPA
「Stay together! Stay together!」
男子バスケ代表チームのパリオリンピック第2戦の相手は、地元・フランスだった。
第4Qの残り47秒。満を持して日本がタイムアウトをとった場面で、その締めくくりに、そう叫んだのが河村勇輝だった。オリンピック後のNBA挑戦が決まっている河村は、かねて英語を勉強している。「一丸となって戦う」という意味の英語のフレーズがサラッと出てきていた。
大きな意味があるのは、勝負を分けるあの場面で、彼がチーム内で誰よりも声を張っていたことだ。
日本代表に入ったばかりのころ、トム・ホーバスHCに叱咤された頃の河村の姿はもうなかった。当時は自らシュートを狙わず、パスを出すばかりだったことをとがめられた。「そんな姿勢では相手にとって、少しも怖くはない」と。あの頃はまだチームメイトへの遠慮もあったはずだ。
だが、今は違う。
誰かに遠慮することなく、チームが勝つことだけを考えている。23歳の彼は現代表チームでは2番目の若さだが、年齢などは関係ない。チームを勝たせるために全てを捧げる。それだけだった。
残り16秒で4点リードも…司令塔の悔しさ
試合直後のフラッシュインタビューで口をついて出てきたのも、司令塔であるポイントガードとして試合を上手くコントロールできなかった自身への反省だった。
残り16.4秒で84-80。強豪フランスを相手に4点リードを奪いながらも同点に追いつかれ、延長戦の末に敗れた。その悔しさはもちろん、中心選手として、試合をコントロールする立場として、責任を口にした。あの試合で誰よりも点を取り、輝いていたことなど、河村にとっては関係なかった。
あの試合後、多くの日本人が誤審について意見をかわしている。
確かに4Qの最後にフランスのマシュー・ストラゼルが3Pシュートを打つ前に2度あったトラベリング疑惑のシーンや、ストラゼルヘの河村のチェックがファールではなかったのではないかという意見はある。紙一重のジャッジではあったし、違う会場での試合だったら、あるいはもう一度あの状況になったら、審判が異なる判定をする可能性も十分にあるだろう。