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プロ野球PRESSBACK NUMBER
“夜遊び大好き”高橋慶彦「野球があるから女の子にもモテる」なぜ球界屈指のスター選手に? 落合博満を上回る記録も「80年代は慶彦の時代だった」
posted2024/08/01 11:04
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph by
KYODO
1980年代は慶彦の時代だった
勝手ながら、断言したい。
1980年代は高橋慶彦の時代だった――。
あの頃の慶彦ほど、疾走感にあふれ、時代を駆け抜けたプロ野球選手はいなかったのではないか? 初めに断っておくが、本稿では「高橋」ではなく、あの頃の野球ファンがそう呼んでいたように、あえて「慶彦」と表記させてもらいたい。作家・村上龍は、慶彦に関わる連作小説である『走れ! タカハシ』について、このように記している。
もっともスリリングだったのは盗塁で、とくに走り出す瞬間、胸が高鳴った。ぎりぎりまでリードをとり、投手のモーションを盗み、躊躇なくグラウンドを蹴った。まるでリスクを楽しんでいるかのようだった。そう、高橋慶彦は、グラウンドで誰よりも楽しそうで、すべてのプレーからそのことが伝わってきた。あんな選手はもういない。これからも現れないだろう。もっとも好きなプロ野球選手、いやもっとも好きなプロスポーツ選手だった。
もちろん慶彦は「記憶」だけの選手ではない。80年代に限って言えば、彼はさまざまな「記録」も残している。
《1980年代通算安打》
1位・高橋慶彦……1425安打
2位・落合博満……1367安打
3位・篠塚利夫……1352安打
慶彦は80年の169安打を筆頭に、80年代の10年間すべてにおいて110安打以上を記録。三冠王の落合や、二度の首位打者に輝いた篠塚を差し置いて、堂々の1位を誇っているのである。ちなみに慶彦は、80年代に限定すれば「通算試合・1253試合」「通算盗塁・380個」、ショートとしての「通算出場・1237試合」でいずれも1位となっている。
冒頭に記した「1980年代は高橋慶彦の時代だった」というフレーズは、決して単なる思い込みでも、誇張でもないのである。