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悪質足踏み以外も「パラグアイは酷かった」が…トルシエ絶賛のパリ五輪世代は2ゴール三戸舜介、斉藤光毅だけでない「献身で重要な役割だ」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byTakuya Nakachi/JMPA
posted2024/07/26 17:30
パラグアイ戦で大活躍の10番・斉藤光毅を抱き上げる三戸俊介と細谷真大
トルシエ:その通りだし、フランス対アメリカも見たがやはりレベルは高かった。日本はビッグチームではないしスター選手もいない。ただ若いチームだが自信に溢れている。しっかりとプレーを構築し、素早くボールを回してスピーディに展開する。そのトランジションは本当に素晴らしく、どんな相手でも倒すことができる。攻撃のトランジションは文句なしに第一級だ。
平河悠の負傷は残念だ。平河のクオリティを佐藤恵允には求められない。しかし荒木遼太郎は交代出場で存在感を示したし、藤尾翔太もしっかりとゲームにフィットした。藤尾はコーチングもできるし、屈強な体格で空中戦にも優れている。攻撃に関して日本の潜在能力は高い。
一方、守備の長所はグループの統一感であり、コレクティブな規律だ。強烈な存在感のあるディフェンダーはいないが、コレクティブな面において強固だ。しっかりとプレスをかけ、誰もが献身的に動いている。このディフェンスと攻撃のトランジションのバランスが、日本はよくとれている。パラグアイ戦は大きな自信を得た試合であり、とりわけマリ戦に向けて、勢いと自信が得られた試合だった。
ホソヤが果たした役割はもの凄く大きい
――なるほど。
トルシエ:もう1つ触れておきたいのだが……細谷真大が果たした役割はもの凄く大きい。
――細谷はアシストこそつきませんでしたが、相手マーカーを巧みにブロックし、三戸の先制ゴールを引き出すなどの貢献がありました。
トルシエ:彼は優れた選手だ。チームメイトのために献身し、最初のボールタッチで重要な役割を果たしている。そして繰り返すが、左サイドの攻撃が際立っていた。輝いていたのは斉藤と三戸、大畑だ。それから細谷も。また藤田は今日も卓越していたし、本当に高いレベルの選手であるといえる。
――イスラエル対マリの結果にもよりますが(※現地時間21時キックオフでおこなわれた試合は1対1の引き分けに終わり、日本はマリ戦で勝てば決勝トーナメント進出が決まる)、3月の親善試合で日本はマリに完敗を喫しました。彼らのフィジカルとスピード、テクニックに圧倒されました。
トルシエ:マリは個の力がとても強い。しかし彼らはボールを持ちたがり、ボールと一緒に走る。日本のようなコレクティブなプレーはない。日本はボールを素早く散らす。日本がつけ入る隙は十分にあるように思う。
しかし右サイドは見るべきものがなかった
――すでに対戦経験があり、どんなプレーをするかわかっているので対応は出来ると思います。