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「周囲は猛反対だった…」159cm佐野優子が“世界一のリベロ”になるために決断した海外移籍「石川君たちのように…女子もやっと増えてきた」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byAFLO
posted2024/07/24 11:02
フランス、アゼルバイジャン、トルコ、スイスと欧州4カ国でプレーした佐野優子(写真は2012年ガラタサライ/トルコ時代)
大人しそうに見えて、佐野は頑固で芯が強い。反対されたからといって決意が折れることはなかったが、当時はエージェントの存在も知らず、誰に相談すればいいのかもわからなかった。結果的に03-04シーズンは所属先がなく、リーグ期間中はハローワークに通いながら、ジムで一人でトレーニングをする毎日。アテネ五輪はメンバーから落選した。
それでも04年にようやく見つけた移籍先のカンヌで人生が変わった。それまで抱いていた固定観念をことごとく覆された。
「それまではウエイトトレーニングの重要性を全然わかっていませんでした。日本では当時、レシーバーだから足だけ鍛えていたらいいよ的な流れだったんです。でも海外に行くと、リベロも他の選手と同じように上半身と下半身のトレーニングをする。『やっぱ上半身、必要か』と思って。今考えたら当たり前なんだけど(笑)。
上半身のトレーニングをしっかりやるようになってから、レシーブをしていても『全然違う!』と感じるようになりました。それまでは強い打球に負けていたんですけど、上半身が強くなったら強いボールにも負けないし、取る位置も変えられた。返すボールの質や角度も変わりました」
強いボールへの苦手意識を克服
それまでは、「強打は体に近いところで取らなければ勢いを殺せない」という思い込みがあり、腕を体に近づけて取っていたため、届く範囲は狭く、返球は低く突くような軌道になった。
しかし海外で上半身や体幹を鍛えると、離れた場所に腕を伸ばしてもしっかりと返球でき、守備範囲が格段に広がった。
「最初に行った海外で全部覆された。トレーニングのやり方もプレースタイルも、レシーブの形もすべて。それまでは強い球に苦手意識があったんですけど、安定して確実に返せるという自信が、カンヌの2年間でつきました。すごく大きかったですね」