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「周囲は猛反対だった…」159cm佐野優子が“世界一のリベロ”になるために決断した海外移籍「石川君たちのように…女子もやっと増えてきた」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byAFLO
posted2024/07/24 11:02
フランス、アゼルバイジャン、トルコ、スイスと欧州4カ国でプレーした佐野優子(写真は2012年ガラタサライ/トルコ時代)
カンヌでの2年目は欧州チャンピオンズリーグで準優勝し、ベストリベロに選ばれた。
もともと日本の企業チームでの安定した、同じサイクルが繰り返される生活に物足りなさを感じていた佐野は、海外でのプロとしての刺激的な日々が肌に合った。チャンピオンズリーグ終盤になると、選手達の野性に火がつく。ネットを挟んだ相手に殴りかからんばかりの闘争心で、得点を決めれば各々が自国の言葉で吠えまくる。
かつて佐野はこう語っていた。
「神経がすり減りますよ。でも自然とモチベーションが上がって、すごくやりがいがある。いろんな国から集まった集団でも、目的が同じだからまとまるし、言葉が理解できなくても、雰囲気やプレー一つで感じられるものがある。私はそういうのが好きなんです。なんか、『バレーやってる』って感じで。たぶんそういうものを求めて、また海外に行くんだと思います」
女子代表も続々と海外移籍へ
今、日本の女子代表にも海外リーグに出て行く選手が増えている。
井上愛里沙が22-23シーズンにフランスのサン=ラファエルに移籍。石川真佑は昨季、イタリア・セリエAのフィレンツェで大きく成長し、今季は同じセリエAのノバーラへとステップアップした。セッターの関菜々巳やリベロの小島満菜美、福留慧美も海外移籍が発表された。
「すごくいいと思います」と佐野は大きく頷く。
「『やっと』というか……。きっかけはやっぱり男子の選手。石川(祐希)君とか福澤(達哉)君、柳田(将洋)君たちが行き始めて、代表に戻って活躍するという流れができたのが大きい。女子も行き出したのはすごくよかったなと思っています。今の選手たちは、代表でも活躍したいし、レベルアップしたいという思いで海外に行っていると思うから、すごくいい流れ。代表のレベルアップにもつながると思います」
「やっと」という言葉に思いがこもる。