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「マユは相当、気合い入ってた」石川真佑から伝わった“怒り”の感情…不完全燃焼カナダ戦の鬱憤晴らした豪快スパイク〈女子バレー五輪決定秘話〉

posted2024/06/16 17:00

 
「マユは相当、気合い入ってた」石川真佑から伝わった“怒り”の感情…不完全燃焼カナダ戦の鬱憤晴らした豪快スパイク〈女子バレー五輪決定秘話〉<Number Web> photograph by Volleyball World

セルビア戦でチーム最多得点を上げた石川真佑(24歳)

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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 パリ五輪行きを決めた翌日。相手はベストメンバーが出ていないとはいえ、東京五輪で銅メダルを獲得しているセルビア。勝つか負けるかで世界ランキングの順位にも影響する。

 ポイントは、ここまでチームとして課題としてきた立ち上がり。セルビアに先取点を許した後、日本はどうやって1点を獲るのか。

 決めたのは、石川真佑だった。

 前衛レフトからクロスに叩きつけたスパイク。力の乗り具合もスピードも抜群で、決めた直後のハイタッチも最上段のスタンドにいても聞こえるのではないかと思うほど、バチーン、と力強い。

「自分がしっかり決めきろう、という思いでした。気合も入っていました」

 溢れる喜びと同時に、別の感情も伝わって来た。怒りだ。

カナダ戦、交代を命じられた

 前々日の6月13日、勝てばパリ五輪出場が決定したカナダ戦。スターティングメンバーとして出場した石川は、序盤から気持ちよくスパイクを叩きこんでいた。しかし、サーブの受数が増え、得意なコースには相手のブロックとレシーブが揃っていた。ブロックを利用しようと試みるスパイクがわずかにアウトとなるシーンが続き、第2セット終盤に交代を命じられた。

 第3セットが始まる段階で石川自身は「戻る準備はできていた」と振り返ったが、攻撃面で高い貢献度を見せた井上愛里沙がそのままコートに残り、得点を重ねる。

 この日、石川が再びコートに立つ機会は最後まで訪れなかった。

 試合もカナダに3セットを取り返され、逆転負け。テレビカメラや多くの記者に囲まれたミックスゾーンで石川は言葉少なだった。

【次ページ】 「悔しさ」は「自信」の表れでもある

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