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「マユは相当、気合い入ってた」石川真佑から伝わった“怒り”の感情…不完全燃焼カナダ戦の鬱憤晴らした豪快スパイク〈女子バレー五輪決定秘話〉 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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posted2024/06/16 17:00

「マユは相当、気合い入ってた」石川真佑から伝わった“怒り”の感情…不完全燃焼カナダ戦の鬱憤晴らした豪快スパイク〈女子バレー五輪決定秘話〉<Number Web> photograph by Volleyball World

セルビア戦でチーム最多得点を上げた石川真佑(24歳)

 プロ選手が世界各国から揃うイタリアリーグでは、チームが勝つためだけでなく、個々の評価を得るためにそれぞれが「もっとこうしたい」「こうしてほしい」と主張する。日本にいる頃は、「こんなトスが欲しい」と求めるよりも、どちらかといえば受け身だった石川にとって、慣れるまでは当然、少なくないストレスがかかった。

「たとえば私はブロックを利用して得点を獲りたいと思うけれど、この状況は厳しい、と思ったらリバウンドがほしい。でもチームメイトやスタッフは『いやいやブロックアウトでしょ』と。もちろんトライすることは必要ですけど、そこでチャレンジして結果的にミスを出せば『ミスを減らそう』と言われる。じゃあ何? どうすればいいの? って(笑)。

 日本だったらそこまでズバズバ、しかも毎回言うことってないじゃないですか。でもイタリアではそれが普通。自分も主張するようになったし、細かく考えすぎずに、何とかなるだろう、ぐらいの開き直りも生まれた。変に気にしすぎなくていいや、と思えるようになったし、余裕もできた。狭い視野だったのが、少し、広がりました」

オシャレもプレーも進化した石川真佑

 イタリアリーグから帰国後、髪色は少し明るくなった。両耳にはピアス、指先にはジェルネイル。日本では制限があったオシャレも、プレーに支障がないなら問題ないと楽しむようになった。振る舞いもどこか堂々としており、今年1月に石川県で行われた復興支援の紅白戦とバレーボール教室の場でも、眞鍋政義監督に挨拶をうながされると「チャオ!」と笑わせる余裕を見せた。

 もちろん、バレーボールではより顕著だ。ネーションズリーグではサーブを受け、パスしてから攻撃に入る回数が増えたが、自分にボールが集まることも苦にしない。トスに関しても「もっと(自分が)打ちたい場所に“山”がほしい」と要求するようになった成果を、随所で発揮してきた。

【次ページ】 「さらに強くなった自分を見せる」

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