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「マユは相当、気合い入ってた」石川真佑から伝わった“怒り”の感情…不完全燃焼カナダ戦の鬱憤晴らした豪快スパイク〈女子バレー五輪決定秘話〉
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byVolleyball World
posted2024/06/16 17:00
セルビア戦でチーム最多得点を上げた石川真佑(24歳)
挽回のチャンスが訪れぬまま敗れた試合から1日。その間にパリ五輪出場が決まった。
ずっと目標に掲げてきたパリ五輪出場というミッションを達成したのだから、「嬉しい」のピースがもう1つ増えたはず。でも、前述の一本は怒りや悔しさが上回っているように見えた。セルビア戦のミックスゾーンで「怒りの一打?」と尋ねると、石川はニヤリと笑う。
「悔しさはありました。でも、それだけじゃなく、(スパイクは)全体的によかったし、ただ打ち切るだけでなく、ブロックを利用して決めることもできた。そういう部分が出せたのはよかったです」
悔しいと感じた理由は、交代を命じられたことや試合に敗れたことだけではない。ネーションズリーグを通じて「自信」が芽生えていたからだ。
古賀紗理那に次ぐ143得点
カナダ戦を終えた段階で、今大会で叩き出した総得点は日本勢では古賀紗理那の196得点(全体4位)に次ぐ、143得点(全体9位)。セッター岩崎こよみの高い位置からのセットによって石川が求める高さが活かされたことも大きいが、「そのためにイタリアに行った」と断言するように、フィレンツェでプレーした昨シーズンの経験が大きい。
「東京オリンピックが終わった後、このままじゃ世界では勝負できないと思ってイタリアに行くことを決めました。高いブロックに対してどう攻撃するか。ただ行くだけじゃなく、試合に出ないと意味がないと思ってクラブも決めて、試合に出続けることもできた。飛び込んだらやるだけなんですけど、思っていたよりも自分がやれるんだ、と感じられたのは、1つ自信にはなりました」