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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
ブラジル人記者の町田ゼルビア本音評価「良い意味で嫌らしい」筑波大戦“ラフプレー論争”には「クロダ監督…ブラジルの監督のようだ」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byFCMZ
posted2024/06/19 11:00
躍進する町田ゼルビアを率いる黒田剛監督。ブラジル人記者の目にはどう映るか
「試合後、エリキに話を聞いたんだ。彼は『若い選手が多く、精神的にまだ少しムラがある』 と説明していた。それでも、『次の試合では必ず盛り返すよ』 と力説していたけどね」
――町田のサポーターとも話したそうですね。
「彼らは『絶対に勝たなければならなかった試合』『とても悔しい』と口々に語っていた。これには少し驚いた」
――なぜですか?
「時おりなんだけど、日本のサポーターはブラジルと比べて“勝負へのこだわり”が薄いと感じることがある。ブラジルでは、チームが負けたらサポーターは本当に悔しがり、怒り狂う。スタジアムからの帰り道の話題は、すべて試合に関することだ。これに対して、日本のサポーターの多くはチームが負けても、帰り道では試合のことを忘れて別のことを話している人が多い。でも、町田のサポーターは違う。黒田監督の勝利への執念と敗戦へのアレルギーが彼らにも乗り移っているような印象を受けた」
――町田について、他クラブのサポーター、ファンの意見も聞きましたか?
「鹿島のファンは『いずれ必ず落ちてくる』と言っていた。町田の奮闘は認めても、まだライバルとはみなしていないようだった。これは他の強豪クラブのサポーター・ファンも同様だろう」
――個人的には、町田の出現をどう捉えていますか?
「ポジティブに捉えているよ。Jリーグに色々なスタイルのチームがいるのはいいことだし、リーグを活性化する。町田には確かな実力が備わっており、今後も簡単には順位を落とさないと予想している。ただ、そのためには15日の第18節で負けないことが大切だけどね」(※横浜F・マリノス戦は3-1で勝利した)
ゼルビアvs筑波大の“騒動”はどう見た?
なお、12日に行なわれた天皇杯2回戦の筑波大戦に町田は控え中心のメンバーで臨み、延長まで戦って1-1の末、PK戦で2-4で苦杯を喫して敗退した。試合後、黒田監督は「筑波大選手の乱暴なプレーで町田の4選手が故障した」と不満をぶちまけ、審判に対しても「彼らのフェアでないプレーを見逃した」とクレームを付けている。
この件について、チアゴ記者は「日本人監督が審判や相手選手にこのようなコメントをするのは珍しいね。まるでブラジル人監督のようだ」と少々驚いた様子。
「ただ、この試合では両チームにラフプレーがあったという見方もできるのではないか」とも語っている。
チアゴ記者のオピニオンは首肯するものが多いが――ここで少し視点を変えてみよう。「これまで他国のリーグでも町田のような例はあったか」、そして「もしブラジルリーグに町田のようなチームがいたら、メディアとサポーターはいかなる反応を示すか」といった見解についても聞いてみた。
<つづく>