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黒田剛監督の“引き締め”で首位返り咲き…町田ゼルビアの「プレーが荒い」は真実か? むしろ注目したい“本当の強み”「スペクタクルはないが…」

posted2024/04/23 17:27

 
黒田剛監督の“引き締め”で首位返り咲き…町田ゼルビアの「プレーが荒い」は真実か? むしろ注目したい“本当の強み”「スペクタクルはないが…」<Number Web> photograph by Etsuo Hara/Getty Images

FC町田ゼルビアを率いる黒田剛監督。就任から現在に至るまで、リーグ戦での連敗は一度もない

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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Etsuo Hara/Getty Images

 春の珍事、などではない。

 J1初挑戦で首位に立つFC町田ゼルビアだ。ゴールデンウィークを前に6勝1分2敗の勝点19を稼ぎ、順位表の最上位に位置している。王者ヴィッセル神戸と優勝候補の一角サンフレッチェ広島には敗れたものの、鹿島アントラーズや川崎フロンターレを下している。その実力は本物と言っていい。

警告数はリーグ最多だが…「プレーが荒い」は真実か

 初のJ1挑戦にあたって、町田は10人の新加入選手を獲得した。期限付き移籍から完全移籍へ切り替えた選手、期限付き移籍での加入なども含めると19人にのぼる。4月21日のFC東京戦では、スタメンの9人までが新加入選手だった。

 大量補強はJ1昇格チームの強化策のひとつだが、チームが機能性を欠くことも少なくない。ここでクローズアップされるのが、黒田剛監督の存在である。

 就任1年目の昨シーズンから、シンプルな戦術のなかで個人が最大値を発揮できる方向性を提示している。新加入選手が多いチーム編成でも、混乱をきたさないのはそのためだ。

 ディフェンスは基本原理を徹底する。個々がハードワークし、ボール際に激しく、縦ズレとスライドを繰り返す。

 ボールにアタックしてマイボールにできなくても、激しく寄せることでボールホルダーに最適の判断をさせない。プレーのキャンセルも許さない。選択肢を限定することができているのだ。GK谷晃生の存在とともに、失点を1試合平均1点以下に抑えている要因である。

 ここまで9試合で、警告が「21」を数える。リーグ最多となっているが、アビスパ福岡が「20」、川崎フロンターレと名古屋グランパスが「18」と、飛び抜けて多いわけではない。

 過去の昇格チームを見ると、2022年の京都サンガは警告数の多さがリーグ2位、ジュビロ磐田は同6位だった。23年のアルビレックス新潟は3番目に少なかったが、横浜FCは6番目に多かった。J2からJ1へ昇格してきたチームは、J1の強度やスピードに慣れるまでに多少なりとも時間を要する。とりわけシーズン序盤は、意図せぬ反則が多くなってしまうところがある。警告数については、もうしばらく注視していくべきだろう。

ロングスローが相手に与える心理的負荷

 攻撃は縦に早い。ロングパスを活用する。ゴールキックからつないでいくことも少ない。自陣でのボールロストを徹底的に減らし、カウンターを受けるリスクを抑えている。

 そのうえで、194センチのオ・セフンと184センチの藤尾翔太が最前線でターゲットとなる。彼らが競ったセカンドボールに、2列目の平河悠や藤本一輝が反応する。

【次ページ】 FC東京戦でも見せた“デザインされたセットプレー”

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