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日本代表序列争いに新風…「巣鴨でひたすらシュート」“9戦8発”中村敬斗に小川航基、橋岡大樹とは何者か「それもひとつの役割かなと」
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byJIJI PRESS
posted2024/06/07 17:06
日本代表、ミャンマー戦のスタメン。中村敬斗(13番)、小川航基(19番)、橋岡大樹(22番)はそれぞれの持ち味を見せた
現在の日本代表センターフォワード定位置争いは、同年代の上田綺世を軸に俊足タイプの前田大然、パリ五輪世代の細谷真大、6月シリーズ未招集の浅野拓磨や古橋亨梧らが控えている。
盤石の定位置を手にしている選手はまだいないだけに、来季もヨーロッパでコンスタントに得点を奪い続ければ……という期待値は大きい。
巣鴨でひたすらシュートを打っていた敬斗
<名言3>
巣鴨でもひたすらシュート打っていました(笑)。
(中村敬斗/NumberWeb 2024年3月27日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/861009
◇解説◇
ミャンマー戦を締めくくる一撃は、中村らしい鮮やかなゴラッソだった。
すでに鎌田大地のパスを受けて先制ゴールを挙げていた中村は、後半アディショナルタイムに小川の粘り強いキープに反応して右足一閃。ボールは痛烈な弾道でゴール右隅に刺さった。日本代表デビューから9試合8ゴールは、2000年に高原直泰がマークして以来のハイペースとなっている。
中村の最大の持ち味は、主戦場とする左サイドからカットインしての決定力だ。アジア杯ベトナム戦でも鮮やかな一撃を叩き込むなど、相手として見れば“わかっていても止められない”シュート決定力は、日本代表にとってオプションを超える武器となりつつある。
その武器を磨いた原点について……中村は今年「NumberWeb」で、解説者の水沼貴史氏との対談に臨んだ際に明かしてくれたことがある。
水沼氏が「シュートは小さい頃から意識して練習していた?」と聞くと、中村は「練習が終わってからもずっとシュートを打っていた思い出があります」と答えるとともに、冒頭の言葉を口にしていたのだ。
なお「巣鴨」とは、中村が中高時代を過ごした三菱養和サッカークラブの拠点である。同じく日本代表MFの相馬もプロの世界へと送り出した同クラブは、個人能力を引き出そうとする指導スタイルで知られる街クラブで、選手と指導者の距離感が“まるで友人”のような闊達さがある。そこで中村は伸び伸びと、そして自主的にシュートセンスを磨いたのだ。
左サイドといえば三笘だが…不測の事態があっても心強い
日本代表の左サイド2列目と言えば、三笘薫がエース的存在だ。中村は前述の対談で「自分は三笘(薫)選手のようにハーフラインからドリブルでぶっちぎっていくタイプではないですし、あれはやりたくてもできるプレーではありません」と、その突破力をリスペクトしているが……三笘は所属するブライトンの過密日程によって腰を痛めて長期離脱するなど、今後もタフなプレミアの舞台で不測の事態が起こることも十分あり得る。
その中でフランスのスタッド・ランスで――仲良しの同僚である伊東純也とともに――奮闘する中村が進境著しいのは、心強いと言っていいだろう。