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早大“7季ぶり六大学制覇”のウラに異色の「ピアニスト遊撃手」の存在あり…「偏差値75」全国屈指の超進学校出身・山縣秀(22歳)とは何者か?

posted2024/06/04 17:00

 
早大“7季ぶり六大学制覇”のウラに異色の「ピアニスト遊撃手」の存在あり…「偏差値75」全国屈指の超進学校出身・山縣秀(22歳)とは何者か?<Number Web> photograph by JIJI PRESS

7季ぶりに六大学野球で優勝を決め、胴上げされる早大の小宮山悟監督。久しぶりの快挙の裏には、ある異色の遊撃手の存在が…?

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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 早稲田大学・山縣(やまがた)(しゅう)遊撃手のプレーは、彼が2年生のリーグ戦から、何度も見てきた。山縣遊撃手は、私にとって、早稲田大学高等学院(西東京)野球部の後輩にもあたるからだ。

 大学の付属高校でありながら、野球部の卒業生が大学野球部に進むことが少なく、私自身も「変り者」みたいに言われながら野球部にお世話になったが、それ以降30年以上、早大学院OBで早稲田大野球部に進んだ者はほとんどいなかったはずだ。

 それが、ここ15年ほどか……毎年、数人が入部するようになったが、早大学院OBで今の山縣秀遊撃手のように、押しも押されもせぬレギュラー選手にまで台頭したのは、はるか70年以上昔、のちにプロ野球・中日ドラゴンズで本塁打王(1959年)にも輝いた森徹大先輩(2014年逝去)までさかのぼらなければならないのではないか。それほどの快挙なのである。

ベストナインにも選出で六大学優勝の立役者に

 早稲田大の優勝で幕を閉じた春の東京六大学。

 その山縣秀選手が打撃ベストテン4位に君臨し、遊撃手部門でベストナインに選ばれた。このような「名誉」も、早大学院野球部OBとしては快挙である。

「フィールディングなら、どこへ出しても恥ずかしくない」  

 以前、小宮山悟監督もこのように評したことがある。

 独特の柔軟性としなやかな連動性に富んだ、ちょっと見たことのない動きのメカニズム。

 ネコみたいな身のこなしのできるヤツだなぁ。2年生の彼をリーグ戦で初めて見た時、思わずつぶやいてしまったのを覚えている。それからは、試合前のシートノックで山縣選手のフィールディングを見ることが、試合の勝ち負けよりも楽しみになった。

 同じ学年に、明治大学・宗山塁遊撃手がいたことが、彼にとって、すごく良かったと思う。ご存じ、今秋のドラフトで1位重複指名が確実視されているショートストップである。

 宗山遊撃手のフィールディングは、ある意味「教科書」であろう。誰が真似してもよいような真っ当な動きに終始して、我流の危なっかしさがまるでない。

【次ページ】 ライバルとは違うオリジナリティあふれる守備

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