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「アディショナルタイムに17ゴール+ドイツで1年間負け知らず」レバークーゼンはサポーターも素敵…敵将が「本当に嬉しいよ」感謝したワケ
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAlexander Hassenstein/Getty Images
posted2024/05/27 11:12
ドイツ杯で今季2冠目を獲得したシャビ・アロンソ監督。サポーターの振る舞いも素敵なものだった
「ドイツのチームでは思うようなサッカーが実現できないからこそ、スペイン流のパスサッカーができるアロンソの獲得を“ペップが”望んだということだろう」
しかし、これは真実ではない。ペップが3年間で獲得を熱望し、それを実現してもらったのはアルカンタラだけだという。
むしろ、この移籍を望んだのは、アロンソの方だった。
アロンソは現役引退後に、キャリアを締めくくる場所としてペップが指揮するバイエルンを望んだ理由を明かしている。
「グアルディオラは監督として、いつまでも『情熱』を持ち続けているように感じていた。だからこそ、その秘密がどこにあるのかを彼から学びたかったんだ」
スタニシッチによる「アロンソは常に120%の『情熱』を捧げてくれる」という言葉は、アロンソがグアルディオラの情熱を学ぼうとした意義を感じさせる。
アロンソは選手時代の能力が高く、チームの心臓として活躍してきた。だからこそ、戦術眼を武器にした指揮官だと見られがちなところがありう。
ただ、パーソナリティと情熱も秘めた指揮官である。だから、ヨーロッパのトップリーグ最多の51戦無敗という記録を成し遂げたのだ。
EL決勝敗戦のショックを感じさせない今季2冠目
5月25日、ドイツの首都ベルリンでドイツ杯決勝が行われた。相手は2部のカイザースラウテルンだ。簡単な試合になると思われていた。
しかし、3日前のEL決勝の敗戦のショックがあるのか、レバークーゼンは思うような戦いができなかった。16分にジャカによる先制ゴールこそ生まれたものの、前半終了間際にはDFコスヌが退場を命じられてしまう。すると、アロンソはハーフタイムにシックとホフマンという2人のFWに代え、DFスタニシッチとFWアドリを投入した。
「あの交代をするのは困難な瞬間だったし、大きなチャレンジだった。でも、選手たちはそこからとても良い仕事をしてくれた。あれは、今シーズンがいかに上手く進み、選手たちが忍耐力を示してくれた良い例だった思う」
結局、チームは1点を守りきり、泥臭く勝利をつかんだ。ドイツ国内では1年間負けることなく、2冠は達成された。
敵将が「本当に嬉しいことだ」と感謝したワケ
そんな試合後、実は素敵なシーンがあった。
レバークーゼンのサポーターが、2部のチームをドイツ杯決勝にまで導いた、大ベテラン監督であるフンケルへのエールを込めた大きな拍手を歌ったのだ。
そのときは気がつかなかったというフンケルは、レバークーゼンサポーターからのエースについて試合後の記者会見で聞かされると、敗戦の将にはにつかわしくない笑顔を見せたという。