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最新戦術でも交代策でもなく…「監督は僕たちの誰よりも上手い」シャビ・アロンソ42歳“新名将の5要素”「私の仕事はまだ終わってない」

posted2024/05/27 11:11

 
最新戦術でも交代策でもなく…「監督は僕たちの誰よりも上手い」シャビ・アロンソ42歳“新名将の5要素”「私の仕事はまだ終わってない」<Number Web> photograph by Taisei Iwamoto

42歳にして欧州サッカーの新名将としての地位を確立したシャビ・アロンソ。その指導法で目立つ《5つのキーポイント》とは?

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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Taisei Iwamoto

 常勝のメガクラブというわけではないレバークーゼンが、なぜ「51戦連続無敗」という偉業を成し遂げたのか。42歳の青年指揮官シャビ・アロンソの“戦術や交代策だけではない”手腕に注目してみよう。(全3回/第1回から)

 創設120年目にして、念願のブンデスリーガ初優勝を飾ったレバークーゼン。有名なクラブであるにもかかわらず、過去のシーズンで獲得したタイトルはドイツ杯とUEFAカップをそれぞれ1回ずつ。2001-02シーズンにはブンデスリーガ、ポカール、CLの全てで準優勝に終わったこともあり、国内外で「Neverクーゼン」と揶揄されていた。「永遠に(Never)リーグタイトルを取れない」という皮肉だ。

 ちなみにイギリスのブックメイカーのBettingOdds社は、今シーズンのレバークーゼンが参加する3つの大会の優勝倍率を以下のように設定していた。

 EL:20倍
 ドイツ杯:16倍
 ブンデスリーガ:50倍

 クラブ史を踏まえても、リーグタイトル獲得がもっとも困難だろうと予想されていたわけだ。

シャビ・アロンソが新時代の名将たる5つの要素

 しかし、目利きの予想は完璧に覆してみせた。バイエルンも成し遂げていない無敗優勝を飾ったことで『スポーツビルト』誌などは、「現在のレバークーゼンは歴代最強」だと書いている。

 レバークーゼンに念願のリーグタイトルをもたらしたシャビ・アロンソ監督。現役時代も数々の栄光を手にしてきた彼は、言葉よりも、背中で語ろうとする指導者だ。今回は、アロンソの強みとなるパーソナリティを示す5つのキーを紹介しよう。

《その1:成長のために自ら手本を示す》

「チームや選手の成長を助けたいんだ」

 常々そう語っているアロンソにとっては、自らが見本を見せるのは当然のことなのかもしれない。

 レバークーゼンの選手たちは今シーズン開幕時と比べて、移籍サイト『Transfermarkt』の市場価値を約292億円(所属1選手あたり10.8億円)も高めた。キッカー誌が選定する全選手の採点ランキングでも、1位ビルツから8位フリンポンまでレバークーゼンの選手たちが独占。前代未聞の事態となった。

アロンソは僕ら全員に自信を与えてくれる

 チームのエースであるビルツは、ドイツ人選手最高額タイとなる181億円(1億1000万ユーロ)の市場価値となったが――彼もまた嬉しそうに語っている。

「監督がボールを持つと、グラウンドは最初、沈黙に包まれるんだ。だって、監督は僕たちの誰よりも上手くボールを蹴るから」

練習中、現役時代のように糸を引くようなパスを送るアロンソ ※X公式アカウントより練習中、現役時代のように糸を引くようなパスを送るアロンソ ※X公式アカウントより

 アロンソの下でもっとも成長をとげたのが、今シーズンから加わった左ウイングバックのグリマルドだろう。昨年11月、28歳にして念願のスペイン代表デビューを飾った。愛弟子の筆頭である彼は、こう話している。

【次ページ】 アジア杯やアフリカネーションズで選手がいなくても…

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