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《51戦連続不敗》欧州サッカー異常な大記録を「常勝でもないクラブ」が達成のナゼ…シャビ・アロンソ42歳とレバークーゼン革命の内実
posted2024/05/27 11:10
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Taisei Iwamoto
レバークーゼンは今シーズンのヨーロッパサッカーの中心にいた。だから、EL(ヨーロッパリーグ)決勝での敗退が大きなニュースとなった。
ヨーロッパ主要リーグで最長の11連覇中だったバイエルンに圧倒的な差をつけ、5試合を残してブンデスリーガ初優勝を飾ったレバークーゼン。21世紀に入ってからはアーセナルとユベントスしか成し遂げていないリーグ無敗優勝を達成して、ベンフィカの持っていた公式戦無敗記録を打ち破り、その数を51まで伸ばした。ヨーロッパの歴史の中でも類を見ない強さを誇る。
シャビ・アロンソが見せた新たなマネージメント
42歳のシャビ・アロンソ監督が率いるチームは、欧州5大リーグでもトップクラスのデータを残している。
失点期待値=30.2失点(最少)
90分平均失点数=3位 0.65(3位)
90分あたりのパス数=613.5回(2位)
90分あたりのファイナルサードへのパス数=64.7回(首位)
パスレート(ボール保持時の1分あたりのパス数)=17.5回(首位)
90分あたりのスマートパス(相手のDFラインを破るパス)=6.3回
光るのは攻撃力よりも、守備力。攻撃ではボールを持ち続けることよりも、相手にとって厄介なエリアにボールを入れ続けることをモットーとしている。
ただ、レバークーゼンの優勝の陰にあったのは、これまで語られがちなアロンソ監督の戦術面でのアプローチだけではない。今回はピッチ外の話を中心に、彼らの強さの秘密を解剖していこう。
この項で紹介するのは、監督による新時代のマネージメント・スタイルだ。
監督がクラブのマネージメントに携わると聞いて、多くの人にとってイメージしやすいのはイングランド式の全権監督だろう。チームの戦術面や選手起用だけではなく、どの選手を獲得するかなとの選手編成にまでおよぶというものだ。全盛期のマンチェスター・ユナイテッドの指揮官ファーガソンはその代表例だった。
一方で現代は、ドイツ式の分権スタイルが主流かもしれない。監督は戦術面の発展や選手起用によってチームを強くすることに専念し、選手編成やクラブのビジョン作りなどはGMやSD(スポーツディレクター)が担当するという形だ。かつては全権監督型が主流だったイングランドでも、この形式は進んでいる。戦術面やスケジュール面など、監督に求められる仕事が以前よりも増えていることもまた、その流れを加速させた。
みんなで成長して、優勝を目指すスタイル
それらに対して、アロンソがとったのは言わば、第3の道。かつてのイングランドで主流だった全権監督でも、選手編成への関与が少ない分権型でもない。
彼が築き上げたのは、ジョイント・ベンチャー(JV)型だ。