炎の一筆入魂BACK NUMBER
「やりたい野球とやれる野球は違う」投高打低のセ・リーグで粘り強く上位を窺うカープ新井監督が選択した最善策
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byJIJI PRESS
posted2024/05/20 17:00
無いものねだりはせず、粘り強く現実的な戦い方を続ける新井監督。その心中やいかに
◆チーム防御率
1位 阪神 2.25
2位 巨人 2.21
3位 広島 2.41
4位 ヤクルト 3.26
5位 中日 3.12
6位 DeNA 3.44
◆1試合平均失点
1位 阪神 2.8
2位 巨人 2.4
3位 広島 2.5
4位 ヤクルト 3.4
5位 中日 3.4
6位 DeNA 3.8
得点力不足と言われる広島だが、高い投手力によって得失点差は「+5」となっている。ただ、夏頃には投手陣にも疲れが出てくる。この先もずっとガードを固めて戦い、勝ち星を積み重ねていくのは容易なことではないだろう。
新外国人は「獲得しなくていいです」の意図
広島に限らず、各球団にとって得点力アップが喫緊の課題であることに変わりはない。巨人は新外国人の獲得を発表し、DeNAには筒香嘉智が復帰した。足りないものは補強で埋めることができるが、そのやり方に新井監督はかぶりを振る。球団に新外国人の獲得を求めないどころか、「獲得しなくていいです」と断りを入れている。
長打力のある外国人選手は喉から手が出るほど欲しいはずだ。だが、チームを短期的視点だけでなく中長期的視点でも見ている新井監督だからこそ、「若手育成」という課題を先延ばしする補強は求めない。
「失われたものを数えるな。残されたものを最大限に生かせ」
数々の先人たちの言葉を教訓とする新井監督が心に刻む言葉のひとつだ。パラリンピックの創始者とされる医師のルードヴィヒ・グットマン博士による、パラリンピックの精神を端的に表わすとされる言葉だ。