核心にシュートを!BACK NUMBER
「軽く話せる時間ではないんだ、あの3カ月は」長谷部誠28歳“戦力外事件”記者が見た真相…ボルフスブルクの仲間が監督に「マコトを使うべきだ!」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byBoris Streubel/Getty Images
posted2024/05/21 17:00
2012-13シーズンを前にしたボルフスブルク長谷部誠。開幕3カ月、“戦力外”となった時期に何があったのか
あのときは、終盤にさしかかる3月末にひざの手術をして戦線離脱を余儀なくされていた。それでも優勝争いの最終盤、チームが大敗して2位転落の危機に立たされた残り3試合の状況でスタメンに抜擢された。復帰初戦でルーズボールの競り合いに頭から突っ込んで流血しながらもプレーを続け、鬼軍曹の指揮官をうならせると、次の試合では2アシストを挙げた。
そして、優勝を決める最終節では先制点につながる強烈なシュートを放った。先制点の後、自分にだけしかわからないタイミングでのガッツポーズには、彼の想いが詰まっていた。
あるいは、珍エピソードとして、2011年9月のホッフェンハイムとの試合で味方GKが退場になったために、長谷部が急造のGKを務めた姿を思い浮かべる人もいるかもしれない。
ただ、ボルフスブルク時代の長きにわたる本当の戦いは、他のところにあったのではないだろうか。
長谷部は、2つのレッテルと戦っていた――。
<つづく>