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「軽く話せる時間ではないんだ、あの3カ月は」長谷部誠28歳“戦力外事件”記者が見た真相…ボルフスブルクの仲間が監督に「マコトを使うべきだ!」 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byBoris Streubel/Getty Images

posted2024/05/21 17:00

「軽く話せる時間ではないんだ、あの3カ月は」長谷部誠28歳“戦力外事件”記者が見た真相…ボルフスブルクの仲間が監督に「マコトを使うべきだ!」<Number Web> photograph by Boris Streubel/Getty Images

2012-13シーズンを前にしたボルフスブルク長谷部誠。開幕3カ月、“戦力外”となった時期に何があったのか

 マガトと顔を合わせるタイミングで「そんなことでは屈しないぞ」と主張するかのように声をかけることもあった。

「『今日はこれだけ走りましたよ』とわざわざ監督に報告したんだけど、監督は普通に『もっと走れるぞ』って返してきたからね……」

 気持ちを切らさない長谷部に驚くのではなく、表情すら変えることなく、非情な言葉を返すのがマガトだった。

仲間たちから「マコトを使うべきだ!」

 ただ、10月にリーグ戦の低迷の責任を問われてマガトが解任されると、事態は一転する。

「マコトを使うべきだ!」

(*ボルフスブルク時代の愛称は「マコト」だった。2013年ニュルンベルクに移籍したとき、当時所属していた清武弘嗣が「ハセさん」と呼んでいたことから、それ以降に出会った選手や監督の多くからは「ハセ」と呼ばれるようになった)

 当時の主力である元ブラジル代表のジエゴらが、マガト監督の後を引き継いだケストナー暫定監督に長谷部の起用を進言した。

「マコトはチームの苦しい流れを変えられる選手ですよ! そのための準備をしていることを、練習を一緒にやってきた僕たちは知っていますから」

 そして、2日後のリーグ戦にいきなり右サイドのMFとして先発で起用されると、そこから再びチームに欠かせない選手としての働きを見せていった。

 今ではパワハラとして訴えられそうなマガト監督の仕打ちと、それに心を折られることなく、コンディションを整えていた長谷部の復活劇。彼の心の強さや、常に試合に出られる準備をしているプロ意識を象徴するエピソードだから、ボルフスブルク時代の長谷部を振り返るとき、この話を思い浮かべる人は多いだろう。

ブンデス優勝、急造GK以上の“タフな戦い”とは

 もちろん、奥寺康彦以来31年ぶりに、日本人として2人目となるブンデスリーガ優勝を果たした2009年の偉業もまた色あせない。

【次ページ】 ブンデス優勝、急造GK以上の“タフな戦い”とは

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