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格闘技PRESSBACK NUMBER
「ぶりっ子キャラだし、なにこの子って(笑)」慶應大、異例の“学生アイドルレスラー”はいかに生まれたか? 無村架純が引退後に明かした本音
text by
門間雄介Yusuke Monma
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/05/23 11:02
学生レスラーとして異例の人気を集め、今年3月に引退試合を迎えた無村架純
高校時代の地下アイドル活動がベースに
有名になることも、ちやほやされることも望んでいなかったし、積極的にメディアに露出する考えもなかった。
「ただ、依頼をいただいたら、それにはきちんと応えていこうと思って。だからいただいた依頼は、取材でもプロレスでもいっさい断らないようにしてきました。お仕事として全力でやろうと思っていたんです」
その考え方の土台になっているのは、高校時代に行っていた地下アイドル活動だ。
地元の東海地方で、16歳のときにはじめた地下アイドル活動は、彼女に人を沸かすことの楽しさを教えた。と同時に、活動を通してファンや仕事相手と接するさいの、マナーや礼儀も教えた。
「SNSをやるのもお仕事の一環だと思っていました。自撮りも、DM対応も、需要があるならサービスとして供給しないと、という意識があったんです。ファンや仕事相手の方たちがいるという状況は、地下アイドル時代とまったく変わりません。だから16歳のころからずっと同じことをやっている感覚なんです」
「ぶりっ子キャラだし、なにこの子はって(笑)」
そのプロ意識の高さもあり、人気と知名度は跳ね上がったが、一方で彼女をねたむ心ない声も聞こえるようになった。
“実力もないくせに、ちやほやされるなんて。”“学生プロレスの分際で仕事?”
理不尽に感じることが多かった。
「有名になるってそういうことだと思うんですけど、だとしてもなぜそんなことを言われなきゃいけないんだろうって」
そういった状況下にあっても、彼女がクレバーだったのは、自分自身をあくまでも“中の人”と位置づけていたところだ。
「私は中の人として、無村架純が理不尽な目に遭っているのを見ているようなイメージがありました。冷静に考えると、無村架純のSNSを見ていたら、たしかにそう感じると思うんです。無村はちょっとぶりっ子キャラだし、あんなに自撮りを投稿していて、なにこの子はって(笑)。でもそれはプロデュースが成功していた証なので。私自身はプロデューサー目線で考えているところが大きかったです」