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「ぶりっ子キャラだし、なにこの子って(笑)」慶應大、異例の“学生アイドルレスラー”はいかに生まれたか? 無村架純が引退後に明かした本音 

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門間雄介

門間雄介Yusuke Monma

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2024/05/23 11:02

「ぶりっ子キャラだし、なにこの子って(笑)」慶應大、異例の“学生アイドルレスラー”はいかに生まれたか? 無村架純が引退後に明かした本音<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

学生レスラーとして異例の人気を集め、今年3月に引退試合を迎えた無村架純

きっかけはテレビで観た“木村花の試合”

「自分に出せるものを、ちゃんと出して終わりたかったんです」

 無村架純は引退に向けて抱いていた思いをこう話す。

 高校時代に地下アイドル活動を行っていた彼女が、なんの縁もなかったプロレスに興味を持ったのは、テレビで観た木村花がきっかけだった。

 その華やかなビジュアルに魅了され、そこからスターダムをテレビ観戦するようになった彼女は、慶應義塾大学に進学すると、いくつかのサークル活動のなかからKWAを選ぶ。

「ちなみに最近は全女(全日本女子プロレス)やガイア(GAEA JAPAN)みたいな、けっこうバチバチしたプロレスが好きで、全日本プロレスの試合をよく観ます」

 KWAは創立から45年以上の歴史を誇る大学公認の学生プロレス団体だ。

 一時は選手数2名の低迷期を迎えたものの、なんとかしのぎきり、このころには10名を超えるところまで勢力を盛り返していた。

 そして彼女を含む同学年の新人が一挙に3人も入部した。

 無村架純のリングネームを名乗った彼女は、大学1年生の冬、先輩選手に付き添うディーバとして初めてリングに立ち、大学2年生だった2021年7月に試合デビュー。木村花やX Japanのhideらにインスパイアされたコスチュームをまとい、ひときわ人目を惹く彼女の存在は、男子選手中心の学生プロレス界ですぐさま話題を呼んだ。

 学生プロレスの晴れの舞台は学園祭だ。しかしそれがコロナ禍で中止になるなど、本来の活動の場が狭まったことで、むしろ自主興行の開催や団体間の交流は活発化した。

 KWAも同様で、それまで行わなかった団体交流が進み、選手たちは他団体が活動する地方でも試合をするようになった。

「有名になりたい気持ちはまったくなかったんです」

「無村さま~♡」

 試合会場には、推しうちわを持つファンが集まり、奮闘する彼女に声援を送る。地方会場でも、彼女のサインやチェキを求めて、ファンが行列を作った。

 JUST TAP OUTや、水道橋のお好み焼き屋で開かれるおっこんdeプロレスでは、プロの選手と対戦した。慶應義塾大学の学園祭、三田祭ではスターダムとのコラボレーションも実現し、AZM、レディ・C、天咲光由の3選手から技を受けた。

 それらの活動にともない、メディアからの取材依頼は増え、自身もSNSで積極的に情報を発信していく。彼女の人気と知名度は、学生プロレス界ではかつてないほど上昇した。

「でも私自身は、有名になりたいとか、ちやほやされたいとか、そういう気持ちはまったくなかったんです」

 自分を見る世間の目が、自分の思いとは大きく異なることに、彼女は実は困惑していた。

【次ページ】 「ぶりっ子キャラだし、なにこの子はって(笑)」

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