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「僕には直球しかありませんから」大谷翔平に打たれた菊池雄星が、それでも満足していた理由…MLBでも“ツーシームを使わない”鉄人の自信
posted2024/05/11 11:03
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
現地5月9日現在、今季日本人最速の直球を投げ込んだ投手は誰かご存知であろうか。答えは菊池雄星。球速は98.2マイル(約158.00キロ)。4月27日のドジャース戦の2回に岩手花巻東高の後輩・大谷翔平へ投げ込んだ1球だった。
その渾身の直球を3つ年下の大谷がメジャー自己最速の打球速度119.2マイル(約191.79キロ)で弾き返す右前適時打。野茂英雄の挑戦から30シーズン目、世界最高峰の場で日本人同士が繰り広げる『力と力の勝負』はなかなか想像することができなかった。だが、その見応えある力勝負をふたりは成し遂げた。取材者として喜びが込み上げると同時に、当事者である菊池も結果を忘れ満足感を抱いていた。
「僕には直球しかありませんから。その直球を思い切り投げて勝負できている。その点では良かったですね」
大谷と菊池“登板間隔の違い”
救援投手の世界では今や100マイル(約160.9キロ)越える投手の存在は珍しくない。先発投手では23年、エンゼルス時代の大谷が最速101.3マイル(約163キロ)を投げ、平均では96.8マイル(約155.75キロ)をマークした。菊池の平均球速は今季ここまで95.5マイル(約153.65キロ)。昨季の大谷には追いつかないものの、ふたりの登板間隔には違いもある。菊池は基本中4日、大谷は中5日以上。あるア・リーグのデータ分析担当者が教えてくれた。
「中4日と中5日の登板で球速には大きな違いが生まれてきます。平均で0.8マイル(約1.29キロ)から1マイル(約1.61キロ)ほど中4日の方が球速が落ちるというデータが出ています。ほぼ例外はありません」
菊池もそれを実感しているという。
「中4日と5日では大きく違いますね。僕の場合は平均球速が中4日だと0.8マイルくらい落ちるんですよ。防御率も1点くらい落ちる。今までの5年間の数値を見ても一緒です。僕が知っている限り、どのピッチャーでも同じ数値が出ています」
日本から海を渡った投手はNPB時代の「週1先発」だった過去もあり、メジャー1年目は最低でも中5日以上の間隔を空ける例が増えてきた。昨季の千賀滉大であり、今季の今永昇太、山本由伸だ。大谷は二刀流であるが故、それはずっと続いた。