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韓国プロ野球「ロボット球審」導入でどう変わった? 「すっぽ抜けがストライク」「伝達ミスで大炎上」現地日本人コーチが語る“AI判定のリアル”
posted2024/04/30 11:02
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
JIJI PRESS
韓国プロ野球では今シーズンから大きく変貌したことがある。AIによる審判を、一軍戦で本格導入した。韓国では二軍の試合で2020年から試験的に運用してきた実績があり、米マイナーリーグなどでも導入されているが、メジャー(一軍)でとなると世界の主要リーグの先駆けといえる。
「ロボット審判」の仕組み
このシステムを「ロボット審判」とも表現するが、実際にロボットが立っているわけではなく、センター、一・三塁に設置されたカメラによる「自動ボール判定システム」(ABS)がジャッジする。その結果は信号によってイヤホンを装着している球審と三塁塁審に伝えられ、球審がコールする。つまり、球審は伝達係兼ホームの塁審ということになる。
ところが、この伝達が大きな問題を引き起こした。4月14日のNC対サムスン戦で、AIは「ストライク」と判定したにもかかわらず、球審は誤って「ボール」とコールしてしまった。その場ではチェックすべき三塁塁審も気づかず、試合はいったん進行。すぐにカウントの間違いに気づいたNC側は、当然抗議した。問題はここからだ。
大炎上した“口裏合わせ”
韓国国内の報道によると協議した審判団は、過ちに気づきながらもなかったことにして押し通そうとした。さらにその口裏合わせは中継に抜かれてしまい、瞬く間に大炎上。システムではなくヒューマンエラーである。そのミスをウソで覆い隠そうとした。事態を重く見た韓国野球委員会(KBO)は、主審(チーフ)を解雇、球審と三塁塁審にも懲戒処分を科した。