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韓国プロ野球「ロボット球審」導入でどう変わった? 「すっぽ抜けがストライク」「伝達ミスで大炎上」現地日本人コーチが語る“AI判定のリアル”
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byJIJI PRESS
posted2024/04/30 11:02
韓国プロ野球では今季から「ロボット審判」が導入された
両チームにはタブレットで全球の結果が表示されているが、くだんの「隠蔽騒動」後はイヤホンが供給されるようになった。目的には首をひねる中村氏だが、いずれは日本でも導入またはその前段階としての検討は始まることだろう。
日本での導入には課題も
「韓国では(各本拠地以外の)地方で試合をやることはまずないけど、日本はそこをどうするかですよね。それとストライクゾーンの基準にするために、全ての打者の身長を計測してデータ入力するんですが、それは構えたところじゃなく普通に気をつけ!の状態なんですよ。
確かに構えで計測しても、試合で変える選手も出てきたらキリはないけど。投手にしても終盤になればマウンドが掘れて高さが変わる。そういったところへの対応はどうなのかなと思います。日本の投手は韓国よりコントロールがいいから、すぐに(AIならではのゾーンに)意図的に投げるとは思います。我々のころのようなとにかく低め!じゃなく、高めを利用してくるでしょうね」
フレーミング技術は不要に
確実に消えてなくなるのは捕手のフレーミング技術だ。人の目はごまかせても、機械はごまかせないのだから、無用の技術となる。また韓国では今シーズンから「ピッチクロック」も試験採用。時間内に投球できなくても罰則ではなく注意だけだが、ベンチにいる中村氏は「表示が気になって仕方ない」と苦笑する。こちらは時短という明確な目的があるものの、MLBでは投手の故障リスクの増大が懸念されている。
乱闘あり、報復死球ありのいかにも人間くさい時代を生き抜いた中村氏。「まさかこんな時代になるとは思わなかった」が、紛れもない本音なのだろう。