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“細谷真大へ飛び蹴りGK”にトルシエ「VARでレッドは厳しすぎるが…」高評価する“U-23日本代表の5人”「とりわけ藤田譲瑠チマだ」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byJIJI PRESS
posted2024/04/28 17:02
ヤマ場だったカタール戦を延長戦の末に勝利したU-23日本代表。トルシエが忌憚なく評価する
カタールは積極的にプレーせず、前線のストライカーを置かない守備的な陣形を敷いた。攻撃の武器はセットプレーだけだったが、セットプレーから追加点を奪うことができた。
だが失点しても日本はパニックに陥ることなく、ゲームを完全にコントロールしていた。カタールはほかのやり方では得点できなかったし、忍耐強くプレーして、システムを保ち続けた。自分たちのプレー哲学を良く守り、パスを繋ぐサッカーを継続し続けた。とりわけ右サイドのコンビネーションは素晴らしく、関根大輝と山田楓喜、藤田譲瑠チマ、山本理仁らの連動は見事という他はなかった。ちょっと残念だったのが藤尾翔太だ。3得点を決めていてもおかしくはなかったが、彼もまだ若い。
今夜の日本は、サッカーに必要な要素をすべて揃えていた。もちろん勝利に値したが、90分で決着をつけることができなかったのは、効率性を欠いて得点を決められなかったからだ。ただそれでもパニックに陥らず、冷静さを保ち続けた。忍耐強く自分たちのプレーを続けた。延長までもつれ込んだが、日本には何の不安もなかった。そして最終的に、望むべき結果を着実に手に入れた。成熟した姿と、経験値の高さを見せながら」
この日本代表はちょっと不思議なグループだ
――延長でカタールにとどめを刺しました。
「この日本代表はちょっと不思議なグループだ。この年代で最高の選手たちが加わっていない。Jリーグのクラブからも選出の人数制限がある。さまざまな制約のなかでできあがったチームだ。しかしどの試合でも自分たちの真価を発揮し、選手は経験を得ている。彼らは力強く進化し、素晴らしい結果を得た。
忘れてならないのは、カタールは開催国であり、ホームでプレーするチームであったことだ。だからこそ日本のパフォーマンスは称賛に値した。カタールと戦うのは、日本にとって心理的に簡単ではなかった。重圧もあったが、最終的にとても素晴らしい試合を実践した」
とりわけ藤田は出色。19番…細谷も素晴らしいと思う
――後半のカタールは疲れが蓄積していきませんでしたか?
「それも日本が素晴らしかったからだ。日本はどの要素をとってもカタールに劣るものはなく、11人対10人の状況にはなったが、たとえ11人対11人でも日本の優位は変わらず、日本の勝利に終わっていただろう。11人のままならカタールは、よりオープンに攻撃を仕掛けてきたハズだ。後方にスペースが生まれ、日本の攻撃が容易になり90分で決着をつけていただろう。しかし10人になったため戦略を見直さざるを得ず、日本はスペースを見つけるのが難しかった。だが右サイドから幾度もチャンスを作った。攻め急ぐことなく忍耐強くプレーし、ピッチを広く使ってパスを回しながら、プレーの哲学を堅持し続けた。