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負けたら五輪消滅…U-23日本代表「カタール戦は厳しい? レフリーに不安は?」記者の質問にトルシエは意外な反応「インドネシアよりはいい」
posted2024/04/25 17:00
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
AFP/JIJI PRESS
U-23アジアカップ・グループBは、日本と韓国が2連勝で最終戦を残しリーグ突破を決めた。大会前は《死のグループ》と見られたグループBであったが、日本と韓国の強さが際立つ結果となり、最終日の日韓対決はどちらがグループ首位で準々決勝に進むかだけが焦点となってしまった。
1位通過ならばインドネシア、2位通過ならカタールと、ベスト8の対戦相手はすでに決まっている。そうであるならば五輪出場権獲得という目標に向けて、どんな姿勢で試合に臨み、どんな結果を得るのがベストであるのか。日韓両国ともに強いられたのは、難しい状況での難しい戦いだった。
そんな日韓戦をフィリップ・トルシエが語った。UAE戦はモロッコからフランスへの移動のため見られなかったトルシエは、韓国が勝利を得た日韓対決をどう評価するのか……。
負けたことは批判の対象になり得るが、より重要なのは
――試合にどんな印象を持ちましたか?
「私の印象は……、モチベーションはあったが、日本は試合前からグループ突破が決っていた」
――UAE戦に続いてこの試合でもターンオーバーをおこない、先発を7人替えました。ただそれは韓国も同じで、10人を中国戦から入れ替えました。
「つまり試合の焦点は日本と韓国のライバル意識にあった。勝つためにはより高い強度とアグレッシブさが求められる。しかし日本がアグレッシブさを発揮したのは最後の25分間だけ(註:日本は後半30分にCKから失点し、アディショナルタイムは9分)だった。失点を喫してようやく目を覚ました。
日本は勝利よりも引き分けを考えているように見えた。消化試合でしかなく、チームはすでにベスト8進出を決めている。特別な動機があるわけではなかった。唯一動機と言えるのが東アジアにおけるライバル意識だった。
負けたことは批判の対象になり得るが、より重要なのはすでに突破を決めてここまでプレーしていない選手をピッチに立たせることだった。この試合の後で言えるのは、日本が準々決勝に駒を進めたことであり、これからの戦いに向けて態勢を整えたことだ。だから敗北への批判はあっても、それ以外に批判できる点はインテンシティが十分ではなかったことと動きも十分ではなかったことぐらいだ。
両チームの前半は「引き分けで十分」というものだった
しかし最後の25分間――とりわけ失点を喫してからは、韓国に対して優位性を示した。試合内容でもゲームのコントロールでも韓国を圧倒した。勝利への意志も顕著で、準々決勝に向けての準備を整えたと言える。日本にとって(GKを除き)未出場だった選手全員をピッチに立たせたこの試合は、準々決勝のためのものだった。
ふたつの分析が成立する。
ひとつは準々決勝に向けてのマネジメントであり準備だ。もうひとつはどうして日本は勝てなかったのかを追究することだ。負けた理由は明らかで、本気でプレーしたのは25分間だけだったからだ」
――前半に関しては、日本だけでなく韓国も同様に消極的でした。