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大谷翔平、松井秀喜とのメジャー成績比較で「走れる広角アーチスト」がクッキリ…177号以降はジャッジら“2020年代最強打者争い”頂点へ 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byNanae Suzuki/Koji Asakura

posted2024/04/24 17:00

大谷翔平、松井秀喜とのメジャー成績比較で「走れる広角アーチスト」がクッキリ…177号以降はジャッジら“2020年代最強打者争い”頂点へ<Number Web> photograph by Nanae Suzuki/Koji Asakura

大谷翔平と松井秀喜。アメリカで数多くのアーチをかけてきた2人を比較するとメジャー史の変貌もわかってくる

〈本塁打の打球方向〉
 ・松井
  左翼5本(2.9%)左中間5本(2.9%)
  中堅17本(9.7%)
  右翼111本(63.4%)右中間37本(21.1%)
 ・大谷
  左翼16本(9.0%)左中間28本(15.8%)
  中堅39本(22.2%)
  右翼49本(27.7%)右中間45本(25.4%)

 驚くべき違いが出た。

 松井秀喜の本塁打175本の内、85%近い148本は右方向、つまり引っ張った本塁打であり、中堅でさえも9.7%の17本、反対方向の左には10年のキャリアで10本しか打っていない。松井が本塁打を狙うときは、間違いなくバットを振り抜いて引っ張ることを意識していたのだろう。

 これに対して大谷は176本の内、53.1%の94本は右方向。しかし中堅に22.0%の39本、左翼にも24.8%の44本と広角に打ち分けている。大谷が反対方向に本塁打を打つのは珍しくない。大谷にとって本塁打を打つとは「プルヒットすることではなくフルスイング」することなのだ。

「強く、速く打つ」松井と「打ち上げる」大谷

「フライボール革命」の考え方では、ミート力やボールをバットに載せる「技術力」ではなく、バットスイングを速くして打球速度を上げることが最重要だ。打球速度が上がれば、反対方向でも飛距離が伸びていく。全方向に本塁打を打つことができるようになるのだ。

 松井秀喜は175本の内、ライナー性が26本、フライボールが149本
 大谷翔平は177本の内、ライナー性が17本、フライボールが160本

 松井秀喜はボールを「強く、速く打つ」ことを考えていたが、大谷翔平は「打ち上げる」ことを意識しているのではないか。

 松井はフライボール革命以前の打者であり、大谷はアーロン・ジャッジらと共にフライボール革命の申し子というべきだろう。2人が違う時代を生きていることを実感する数字だ。

 さらに三振数にも違いが見える。松井はMLB1236試合で689三振、1試合当たり0.56個に対して、大谷は740試合で775三振。1試合当たり1.05個の三振を喫している。フライボール革命以降「三振はホームランのコスト」という認識が広がっているが、大谷も三振することを全く恐れていない。

大谷は2021年以降のメジャー通算本塁打4位!

 松井秀喜との「比較」は、この日を最後にメディアにはのぼらなくなるだろう。

 日本、アメリカ、中南米……といった国籍を越えて、大谷翔平は「メジャーリーガー」としての競争に身を投じている。

【次ページ】 そもそも「投手」という衝撃…で、得点圏打率は?

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