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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
大谷翔平、松井秀喜とのメジャー成績比較で「走れる広角アーチスト」がクッキリ…177号以降はジャッジら“2020年代最強打者争い”頂点へ
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki/Koji Asakura
posted2024/04/24 17:00
大谷翔平と松井秀喜。アメリカで数多くのアーチをかけてきた2人を比較するとメジャー史の変貌もわかってくる
ジェームズ・シールズは、レイズ(デビルレイズ)、ロイヤルズ、パドレス、ホワイトソックスで2006年から18年まで通算145勝139敗、オールスター出場1回。松井はシールズのデビュー年に1本目を打ち、大谷はシールズの最終年に本塁打を打っている。エドウィン・ジャクソンは2003年から19年までドジャースを皮切りに15回も移籍を繰り返して通算107勝133敗、オールスター出場1回。
そしてジャスティン・バーランダーは2005年タイガースに入団後、アストロズ、メッツ、アストロズと移籍し40歳の今年も現役で通算258勝141敗。サイヤング賞3回、オールスター出場9回。殿堂入り確実の大投手だ。大谷は初対戦では手も足も出ず三振したが、この年の8月にさっそく1発を打っている。
同じ左打ちの強打者でも、数字を見るとタイプが違う
松井秀喜も大谷翔平も左打ちの強打者だが、タイプはかなり違う。
〈安打に占める長打の比率〉
・松井1253安打
二塁打249本(19.9%)三塁打12本(0.9%)本塁打175本(14.0%)
・大谷717安打
二塁打140本(19.5%)三塁打30本(4.2%)本塁打177本(24.7%)
筆者は本塁打より二塁打が多い打者は「中距離打者」だと思っているが、NPBでは二塁打より本塁打が多かった(二塁打245本17.6%、本塁打332本23.9%)松井は、MLBでは二塁打の方が多くなった。反対に大谷はNPB時代、二塁打の方が本塁打より多かった(二塁打70本23.6%、本塁打48本16.2%)のが、MLBに来て逆転した。
多くの日本人打者と同様、松井はMLBに来て「小型化」したが、大谷は「大型化」したのだ。数ある日本人打者の中で、これは大谷翔平だけだ。
三塁打は大谷の方がはるかに多い。足に関しては、松井がMLB10年で13盗塁9盗塁死、大谷はMLB7年目で91盗塁33盗塁死と、大谷の方が圧倒的に勝っている。大谷は「走れるスラッガー」なのだ。
対左投手、本塁打の打球方向も対照的
〈右左投手別の成績〉
・松井
右投手/打率.281 OPS.831、左投手/打率.284 OPS.802
・大谷
右投手/打率.289 OPS.974、左投手/打率.255 OPS.830
松井秀喜は、やや長打は少ないものの左投手もそれほど苦にせず、対応していたが、大谷の場合、依然として左投手がやや苦手だ。大谷の打順で左投手がマウンドに上がるケースは今もしばしばみられる。