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日大アメフト部大麻問題は「僕が指導していたら起こっていない」悪質タックル問題の元監督・内田正人が主張する「学生主体」の落とし穴
posted2024/03/09 17:02
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph by
Yuki Suenaga
学生主体は指導者の「逃げ」では?
――内田さんが辞められたのが2018年5月。今回事件が起きたのが5年後なので、内田さんと結びつけるのは短絡的だと思いますが、とはいえ名門がこのような状態となった起点には内田さんの時代があります。
僕がそのまま指導していたら今回の大麻の問題は起こっていませんよ。僕は辞めてから現場には一切関わっていません。ただ、噂レベルで、自分が辞めた後に寮でお酒を飲めるようになったとか、たばこもOKだとか、グラウンドで電子タバコを吸っているとか、ひどい子は小便に行くのもだるいからペットボトルにおしっこを入れていたとかいろいろ聞きました。その中で今回の大麻の問題にも関わっていた選手がクラブ通いをしていると聞いたんです。僕からすると生活態度が非常に乱れているなと。
――そういった話がOBにも出回っていたと。たしかに大麻の問題も外部通報がきっかけになりました。内田さんが主張する生活態度の乱れ、これは何が原因なんですか?
“内田憎し”で内田の時とは逆のことをやろうとしていって、組織のあり方として緩めすぎたんじゃないかと思うんです。
内田体制は失敗だった、駄目だったとレッテルを貼ってもらってもケッコウですが、ルールをちゃんと教えようとするのであればよかったと思いますよ。それなしに学生主体という錦の御旗みたいなところにすがってきてしまった。僕の後任の橋詰(功)くんは、いきなりああいった立場を任されて、限界はあったのかもしれない。ただ、僕は大学に長年身を置いてきましたけど、学生主体とか掲げる人は信頼できないなと思いますし、指導者としては責任逃れ、逃げだと思うんです。その後を見ていると、やっぱり「内田が嫌いだ」「内田の指導方針は駄目だ」というレベルの話だったんですよ。学生主体の指導者に任せ、それを真剣に取り組まなかったのが、OBであり日大ですよ。
その後、中村敏英監督(2022年4月から就任)がチームを立て直そうとしていた時に今回の一件が起きたんです。
バランスが悪い指導体制
――中村さんは内田さんがコーチ時代に日大で選手をやっていた間柄ですけど、どんなふうに見ていたんですか?