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日大アメフト部大麻問題は「僕が指導していたら起こっていない」悪質タックル問題の元監督・内田正人が主張する「学生主体」の落とし穴
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byYuki Suenaga
posted2024/03/09 17:02
2024年度は公式戦不参加となった日本大学アメフト部。大麻問題により廃部がきまった古巣の失敗の本質は「間違った学生主体」にあると、元監督は主張する
まず、監督になってからやりとりはしていません。ポジションコーチとしてはいいと思うのですが、組織の作り方というところでどうなのかなと。今は中村監督の上に総監督、そして元監督の顧問がおり、さらに監督の近くには助監督、チーフディレクターと何かを決定する時に5人に話を通さなくてはいけない体制でした。
僕の時みたいに監督が最終的に責任を持って判断するという形でなく、それを一々上に下にお伺いを立てて……とやっていたら組織はまわっていかないですよね。技術的な話を言えば、オフェンスのコーチが多くて、バランスが悪い指導体制だなとも思っていました。つまり、監督がいてヘッドコーチがまとめ役、オフェンス責任者コーチ、ディフェンス責任者コーチ、その下に各ポジションのコーチといった組織がいいと思っているんです。そして僕の経験から言わせてもらえば、あんな見てくれがいいだけのコーチを集めたチームにはしていないです。
選手はどういうところかちゃんと知って入ったんだろうか
――選手についてはいかがでしょうか?
橋詰くんが監督の時、ある高校の先生から問い合わせが来たんです。「通信制で入りたい」という子を日大がアメフト部に取りたいというんだけど、どうだろう? と。僕は自分が監督だったら責任持てるけど、やめたほうがいいよということは言いました。その子は入学を断念しましたが、別の子はどういうわけか通信制から通常の学部生になった。これは中村監督も問題視して、YouTubeの番組『ReHacQ』に出演した時に話していました。あとは自薦で「入りたいです、それで友達も」というような子も受け入れていたと聞く。そういった子たちが今回のトラブルに繋がっている。そうなると、日大のアメフト部ってどういうところかちゃんと知って入ったんだろうかと思うわけです。
――内田さんのときはそういった問題はなかった?
私が再登板した2017年の時も、前体制でスカウトされた選手で、「これは自分だったら採らないな」という子が2人いました。一人はその後別の大学に行って、のぞきで捕まった。もう一人はその後主力として活躍しましたが、先輩に敬語を使わないし、技術面もひとりの人間としても鍛えるために4年間こうしていこうと育成計画をコーチたちと話していた。こちらがしっかり見張っている中で2年目に入って、これからというところで、ああいった形で辞任して我々の手を離れました。
内田氏が廃部前に主張していた「解散論」
――辞任後は一切部に口出しせず?