プロ野球PRESSBACK NUMBER
「野村(克也)さん、矛盾があると思ったね」岡田彰布66歳が明かす“確執説”の真相「二軍なら…でも、それぞれ考えが違うのは当然やと」
text by
岡田彰布Akinobu Okada
photograph bySankei Shimbun
posted2024/03/14 11:02
楽天時代の野村克也監督と阪神・岡田彰布監督
ホームラン打ったとき、そら自分が一番うれしいけど、みんながうれしい。チームに得点が入るんやから、みんなが喜ぶ。ベンチのみんな、観客席の友だちや、お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃん。1人の力でみんなを喜ばせることができるのが野球なんや。
そんなん、今だから分かることで、今になって言えるんやけどね。
やってるときは自分のことだけで必死やった。けど高校野球で甲子園に出る、プロ野球の選手になる、すると学校全体、父兄、みんなが楽しくなるってことが分かった。
高校野球やったら、みんながアルプス席へ応援に行ける。自分だけと違って、周りの人がすごい体験をできる。野球いうんは、みんなを喜ばすことができるもんなんや。それは大人になって気が付く。今は、へえそうなんかと、それくらいに思うとけばええことなんやけど。
心技体というけど、おれは順番が違う。体技心やな、大切な順は。いいスイングの理屈が分かっても、体力がないとバットは振れない。野球の練習いうのは、毎日の繰り返しやから。体力があって、技術がつけば、びっくりするくらいうまくなる。
プロに入って、コーチに言われるのは技術のこと。でもそれを自分ができるかどうかは、自分で選ぶしかない。言われたままやっても、誰もが同じようにはできない。自分にとって何が必要か、いらんものは聞くだけで使わない。それが心というもの。自分で判断しないと、技術は自分の役には立たない。
打者の理想的な構えは“立ちション”言われたなあ
おれの小学生のころの目標は、早稲田に入ることやった。野球でということではなくて、早稲田大学にあこがれていた。それで進学することを目的に、私立の明星中学校に入ったんだけど、高校は北陽で、ここで目標が甲子園出場になって、まあ結局はそれから早稲田ってことになった。
子どものころはそんなすごい野球の才能があったわけじゃない。プロで成功するには、チーム事情とか、いろんな運というものも影響する。
ユニホームを脱いでいるときには、子どもたちの前でそんな話もした。社長さんの前で話すのも、子どもの前で話すのも、相手はどれくらい聞いているか分からんけど、自分にとってはどちらも、いい経験をさせてもらったと思うよ。