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「野村(克也)さん、矛盾があると思ったね」岡田彰布66歳が明かす“確執説”の真相「二軍なら…でも、それぞれ考えが違うのは当然やと」
text by
岡田彰布Akinobu Okada
photograph bySankei Shimbun
posted2024/03/14 11:02
楽天時代の野村克也監督と阪神・岡田彰布監督
おれが子どものころは「打者の理想的な構えは、雨の日に傘を差して、立ち小便をするときの格好」と言われていた。そんなことを子どもたちに言ったら、みんなきょとんとしていた。今の子は立ちション、しないのかもなあ。
野村さんは「短所を直す」、おれは逆なんやなあ
第二章でも少し書いたが、阪神の一軍監督になった野村克也さんは「プロ野球で教えるべきことは、選手の短所を直してやることや」と言う。
おれは逆なんやなあ。
二軍は特に、長所を伸ばしてやるべきやと思う。
98年かな。おれがオリックスから阪神の二軍の打撃コーチに戻ったとき、二軍監督は和田博実さんだった。試合になると1回から5回まで、とにかく先頭打者が出たらバントで送る。そんな野球をやらせていた。
「二軍はまず、きっちり打たすことからやらさんとあかんでしょ」
おれがそう言うと、和田さんは「いやあれは三塁コーチが勝手にサイン出してるんや」って、まるで人ごとみたいに言うんやからなあ。
そんな二軍監督おるんかいな。「ほなら、おれがベンチからサイン出しますわ」と答えた。それから阪神の二軍の野球も変わったんやけど、そんなこんなで野村さんが一軍監督になってから「岡田はバントが嫌いらしいなあ。なんでバントさせへんのや」とか言いだしたんやろね。
野球観が違って噛み合わんかったのは確か
嫌いとか好きとかいう問題やないわな。おれもバントさせなあかんときは、させるがな。そうしておれがサイン出すようになったら、チームも十何年ぶりかのファーム優勝よ。そらもう打ちまくったわ。ファームの練習場でもある鳴尾浜で優勝を決めて、最初に和田さんの胴上げ、次はおれが胴上げされた。