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“現役ドラフトの星”阪神・大竹耕太郎が自主トレで「陸上競技」に挑んだナゼ…更なる飛躍のヒントは「マラソン・大迫傑」の走りにあり?
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/03/01 11:02
昨年の日本シリーズでも先発し、日本一に大きく貢献した阪神の“現役ドラフトの星”大竹耕太郎。オフの自主トレでは意外な他競技挑戦を見せた
通称“五味トレ”と呼ばれるトレーニングは、トップアスリートのみならず、ジュニア世代から一般ランナーまで多くの支持を集めている。
もともと研究熱心な大竹は、様々な競技のトレーナーをインスタグラムでフォローしていた。五味さんのアカウントもフォローし、昨シーズンの終盤に「タイミングが合えば、トレーニングを教えてください」とメッセージを送っていたという。そして、シーズンオフに実現したというわけだ。
「これができないとダメだっていうのを強要するのではなく、理論を知っておいて、自分に活かせるものを持って帰ってもらえれば」
こういったスタンスで五味さんは、大竹の指導に当たった。
また、中長距離のトラッククラブTWOLAPS TCでフィジカルコーチを務める和田俊明さんもトレーニングの指導を行なった。
「陸上で大事な股関節の伸展などの動作は野球でも必要」
「(大竹に)話を聞いていて、陸上競技で大事な股関節の伸展などの動作は、ピッチングにもバッティングも必要なんだと思いました。陸上のトレーニングは他のスポーツにも還元できると思います」
アメリカ・オレゴン大出身の和田さんは、アメリカのプロ陸上チームALTISでインターンとして世界的に著名なコーチ陣からスプリントとウエイトトレーニングを学び、第一線で活躍しているコーチだ。
4日間にわたるスプリントトレーニングキャンプの初日には、片脚ずつや両脚での垂直跳びなどを行い様々なデータを測定したり、実際に走ったりして、課題をあぶり出すことから始まった。
「大竹選手はめちゃくちゃ良い脚をしているんですよ。でも、最初に走ってもらった時に、接地の衝撃に足首が負けてしまい踵まで地面についていました。いわゆる踵接地でした。短い接地はピッチングの局面にはないかもしれませんが、脚の動かし方を学習して、お尻やハムストリングをメインエンジンとし、踏む力が大きくなれば、走りも速くなるし、ピッチングにも良い影響は出るんじゃないかと思いました」(和田さん)
股関節の伸展、上半身と下半身の連動、脊柱の回旋動作といった様々なキーワードが並び、走るスキルを身につけるためのスプリントドリルなど、普段はやったことのないようなトレーニングを行った大竹は、初日から「筋肉痛がやばかった」と言う。