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山川穂高が空気を一変させた“ある瞬間”…ソフトバンク番記者が体感“リアルな雰囲気”「キャンプ地に西武応援団の姿も」ファンの反応は?

posted2024/03/01 06:00

 
山川穂高が空気を一変させた“ある瞬間”…ソフトバンク番記者が体感“リアルな雰囲気”「キャンプ地に西武応援団の姿も」ファンの反応は?<Number Web> photograph by JIJI PRESS

山川穂高が加入したソフトバンク。“TVには映らない”キャンプ地の雰囲気とは?

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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 百点満点の春季キャンプだったのではなかろうか。山川穂高のことである。

 ソフトバンクの主力が中心となるキャンプA組は、2月28日で宮崎キャンプを打ち上げた。この28日間で、山川は一体どれだけのアーチを外野芝生席に叩き込んだだろうか。

 度肝を抜かれたのはキャンプイン2日目のことだった。

108スイング中75発…衝撃“デビュー”

 今年の宮崎は雨が多く、初日から2日連続で雨に見舞われた。キャンプ地の生目の杜運動公園には屋内施設「はんぴドーム」が備わっているとはいえ、限られた練習しかできないのは否めない。ただ、この2月2日、午後には天候が回復した。巨大な雨避けシートや、グラウンドキーパーさんたちの懸命な整備のおかげもあり、わずかな時間ではあったもののメイン球場のアイビースタジアムを使用することができた。

 雨上がりのグラウンドにバットを持った山川が現れる。行ったのは一塁側ベンチ前付近から外野に向かって打つロングティー。手で優しくトスされたボールを遠くに飛ばすのは反発力を利用できないため、誤魔化しが利かない練習とされる。

 この日、山川は計108スイングして、75本の柵越えを放ってみせた。108のうち75発。確率にして約70%である。20年以上プロ野球取材を続けているが、これだけの数を振ってこれほどの割合で外野席に放り込む選手をこれまで見た事がなかった。

 ただ、山川本人はさも当然といった表情だ。

「中(屋内で打つ)だけだと距離が分からない。外で自分が打った打球がどのくらいの感じかなとロングティーで確認しました。いいんじゃないですか。普通に思ってた(感覚)ぐらいだと思います」

 涼しい顔でそんな風に振り返っていた。

キャンプ序盤「こんな雰囲気だった」

 そして翌3日だ。今度はこのキャンプ初の屋外フリー打撃を行ったのだが、これがまた圧巻だった。最初に左腕の打撃投手相手では軽めに打ち、21スイングで柵越えなし。しかし、相手が右投手に代わるとバットの振りが突如変わった。1スイング目にいきなり左翼席へ放り込むと、その後も4連発を含む25スイングで13本の柵越え。場外に消える大アーチもあった。

 当日は土曜日でアイビースタジアムには多くのファンが詰めかけていた。山川が快音を響かせるたびに拍手や歓声が沸き起こった。キャンプと言えども“ただの練習”である。こんな雰囲気になることはなかなかない。

【次ページ】 実戦でも異次元…西武と“再会”も

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