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“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
進学校の10番「ダメだったら受験するつもりだった」急転プロ入りを実現したスゴい“予習力”とは? 名将ミシャが“合格”と認めた無印高校生
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2024/02/19 11:03
北海道コンサドーレ札幌への加入を発表した名古屋高校・原康介(3年)。仲間たちに祝福され、笑みをこぼした ©︎Takahito Ando
運命の日は1月28日。FC町田ゼルビアとの練習試合の2本目途中からピッチに立った原は、ビルドアップに関与しながら、1対1のシーンではスピードを生かしてチャンスを作った。“最後の試験”を突破した原は、見事に“合格”という名の正式オファーを勝ち取り、晴れてJリーガーになった。
振り返れば、全国大会の出場すらも人生で初めてだった。まさに“無印”の高校生は、選手権ドリームとも言える物語を完結させた。
「英語も経済の勉強もサッカー選手には必要」
記者たちの前で抱負を語るJリーガー・原康介は、改めて名古屋高校での時間に感謝した。
「勉強することでいろいろ知識が増えますし、学ぶことの喜び、知ることの喜びを見出すことができたし、習慣化することができた。そのおかげでサッカー面でも、相手チームの分析やスタッフの指示、指摘などに対してみんな理解が早いんです。勉強と一緒で、これまで学んだことと関連づけたり、相手の意図や課題の本質をきちんと解釈したりして、頭に蓄積をさせる。だからこそ、試合間隔が中1日しかなかった選手権でも、理解力の高さを生かして戦うことができた。今回も予習をきっちりとやって、キャンプを通じて復習と予習を繰り返したからこそ、チャンスを掴み取ることができたと思う。勉強せずにポンとキャンプに飛び込んでいたら、何もできずに終わったと思いますから」
Jリーガーとして歩むこれからも引き続き勉強は継続する。
「英語は継続して勉強をしていきたいなと思います。今、興味があるのは建築より、経済なんです。プロになれば個人事業主という立場になるので、経済観念や経営学などを学んでいく必要性を感じています。英語も経済もプロサッカー選手として生きていくために必要だと思うので、来年以降に大学で勉強もできたらいいなと」
夢は、掴んでからが勝負。原の目からそんな心意気を感じた。
(全2回・完)