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“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
“進学校の10番”ギリギリまで揺れた「大学受験か、プロか」急転直下の“高卒Jリーガー誕生”ウラ話「参考書持参で入団テスト」
posted2024/02/19 11:02
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
J1北海道コンサドーレ札幌への加入内定を発表した名古屋高校3年・原康介。高校サッカー選手権での活躍を契機にプロへの道を切り拓いた高校生の舞台裏に迫った〈全2回の前編〉。
2024年2月11日。愛知県、私立名古屋高校――。
Jリーグがまもなく開幕するこの時期に、一人の高校生の加入が発表された。
制服の上から北海道コンサドーレ札幌のユニフォームをかぶった原康介は、充実した表情でこう言葉を残した。
「チャンスがある限り、最後の最後まで諦めるつもりはありませんでした」
開幕直前での急転直下の高卒Jリーガーは、昨今では珍しい。この裏側に何があったのか。
進学校にいながら高卒プロ志望
名古屋高といえば記憶に新しいのが、先日行われた全国高校サッカー選手権大会での快進撃である。「初出場でベスト8」という結果もさることながら、県内屈指の進学校かつサッカー上位校とあって「文武両道」の面でも注目を集めた。実際に、サッカー部員の多くが受験を控えながら大会に臨み、大会終了後には難関大学に挑戦していた。
そんな秀才集団に身を置きながら、原はかねてからプロ志望を公言してきた選手だった。
さらに中学時代から学業も優秀だったため、より高いレベルでの文武両道を実現すべくサッカーで県内上位に入る名古屋高を選択。1年時から出番を掴むと、スピードを生かしたドリブル突破とDFラインの背後への抜け出しですぐに絶対的な存在に成長。2年時には「アローヘッドアジリティー測定」という、サッカーにおいての走能力を評価する測定において全国ナンバーワンの数字を叩き出した。
だが、全国大会の壁は分厚くプロの目に留まるようなアピールの場はなかなか訪れなかった。