濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
創業者が電撃解任…女子プロレス最大手スターダムに何が起きているのか? 岡田新社長が語る騒動の舞台裏「これもプロレス、と受け止められるのは嫌」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2024/02/16 17:00
2月4日、旗揚げ13周年の記念大会を終えたスターダム。新社長に就任した岡田太郎氏にインタビューを行った
スターダムが“解任”を決断するまで
退団を思いとどまり、引き抜きと新団体設立に向けた動きをやめれば、引き続きエグゼクティブ・プロデューサーを務めてもらうつもりだったという。小川氏は全日本女子プロレスを皮切りに、常に女子プロレス界の中心で動いてきた“重鎮”だ。その能力も選手からの人望も高く評価されていた。
「しかし小川さんの退団の意思は変わりませんでした。そこで、3月で円満に勇退してもらう道筋を作りましょうと。1月21日の高田馬場大会では、小川さんの退任を選手、スタッフに発表しています」
だが、その後も引き抜きと新団体の話が止まらない。そこで解任という手段を取ることになった。
「会社に対してマイナスな行為が続いたわけですから、防衛策として可及的速やかに契約解除ということになりました。ただ2月4日は13周年記念大会。まずはそれを無事に終わらせようと。選手たちにも動揺なく試合をしてもらうため、大会後の報告にしています。
マスコミの皆さんには、4日に契約解除を伝えた上で情報解禁を翌5日の昼、団体からの公式発表後とお願いさせていただきました。理由の一つは、小川さんからの情報などで公式発表前に記事が出て混乱するのを防ぐため。もう一つは、まず試合の話題で盛り上がってほしかったからです。“騒動”で大会直後から試合の余韻がかき消されるのは避けたかった」
契約更改は「選手個々の判断となりますが…」
団体に不満を持ったフロント、選手が退団して新団体を設立するのはプロレス界では珍しいことではない。“歴史は繰り返す”と言ってしまってもいい。小川氏は東京スポーツの取材に対し、新団体設立は一部の選手、スタッフの希望であり、自分から引き抜きに動いたわけではないと反論している。一方、岡田社長はこう見解を語る。
「会社として対応すべきは“真相”や“いきさつ”ではなく“事実”なんです。今回、事実としてあったのは、スターダムの選手やスタッフの退団を促し新しい団体を作る流れ。その中心にスターダムの契約下にあるエグゼクティブ・プロデューサーがいたわけですから、解任するしかなかった」
上場企業であるブシロードとしては、会社(団体)を守るために必要だからしたこと。今回の騒動を受け、春の契約更改に向けたミーティングも前倒しで行なっているという。
「最終的には選手個々の判断となりますが、我々としては全員に契約更改してほしいと思っていますから」