濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
“闘うバービー人形”はブロンドの髪、ピンクのコスチューム…新人女子レスラー・Chi Chiがリングで見せるギャップ「気の強さは誰にも負けない」
posted2024/02/19 17:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
昨年3月にデビューしたChi Chi(チーチー)は“ジャイアント馬場の流れを汲む”女子プロレスラーだ。
所属団体はEvolution。全日本プロレスの諏訪魔と石川修司(今年1月で退団しEvolutionのGMに就任)がプロデュース、コーチを担当する。練習するのは全日本プロレスの道場だ。
「基本、特に受身を重視したプロレスを目指したい」と語っていたのは石川。「馬場さんはご先祖様みたいな存在」と言うChi Chiは「強さを軸にしたプロレスを教わってきました。華やかだったり笑わせたり、いろんなパフォーマンスは後からでもできる。まず強くなることが大事だと」。
Evolutionは新団体で、Chi Chiはその1期生。全日本直系のプロレスを2人のコーチからみっちり教わった。ボディスラムで投げられる実戦的な受身の練習も、投げ手は諏訪魔と石川。諏訪魔は188cm・120kg、石川は195cm・130kgである。女子の試合ではまずありえない高さとパワーで投げられることで培った“受け”の力は、デビュー戦から発揮された。
デビュー戦で対戦相手が感じたガッツ
デビュー戦は団体の旗揚げ戦でもあり、新人3人がそれぞれ女子プロレスのトップ選手と対戦。Chi Chiはメインに抜擢され優宇に挑んだ。結果は敗戦。玉砕と言ってよかった。ただ試合後の優宇は、こう言ってデビュー戦の新人を讃えている。
「とにかくガッツがありました。キャリアも体格も差があるのに、最後まで心が折れなかったですから。全日本プロレスの人たちに教わっただけのことはあるのかなと。これからいろんな団体、いろんな相手とやることになると思うんですけど、今持ってるもの、最初に教わったことを大事にしてほしいですね」
気持ちの強さは本人も「誰にも負けない」と言うほど。Sareeeの自主興行に呼ばれたのも、負けん気が評価されてのことだった。Sareee曰く「タッグを組んでいると、相手に一発やり返してからじゃないとタッチにこないんですよ」。Chi Chiに聞くと、意識してやっているわけではないそうだ。
「自然にというか……だって悔しくないですか、やられっぱなしでタッチするの」
得意技は諏訪魔に教わった「ルー・テーズ」とChi Chi。ルー・テーズ式の“ヘソで投げる”ひねりを効かせたバックドロップだ。この技で、同期のZONES(ゾネス)に初めて勝利した。系譜でいえばジャンボ鶴田、諏訪魔が使ってきた技をChi Chiが受け継いだことになる。
「私がZONESに勝った全日本プロレスの藤沢大会では、メインで諏訪魔さんもルー・テーズ式バックドロップで勝っていて。諏訪魔さんと比べられるかもしれないからこそ、もっとキレイに投げられるようになりたいです」