「まず一律平等に選手の話を聞く機会を設けたい」

　最も注意したいのは、今の地位に甘んじてしまうことだと言う。

「だって選手がそうじゃないですか。いつチャンピオンベルトを落とすか分からない、人気がいつまで続くかなんて見えないし、いつケガをするかもしれない。そうして層の厚いスターダムで“代わりはいくらでもいる”という危機感の中で必死に頑張っている。我々だって同じであるはずです。同じ体制が長く続きすぎると、変化やアップデートを恐れるようになる可能性もありますし」

　選手と団体の関係は「お互いプロとして向き合う」ことが理想だと岡田社長は言う。家族的な集団、トップと選手が親子のような関係であることが好意的に受け取られることもあるが、“気持ち”を重視しすぎると“好き嫌い”で関係性に濃淡が生まれてしまうこともある。

「それは私が声優ユニットのマネジメントをしていた頃から感じていたことです。これからのスターダムではトップ選手も新人も関係なく、まず一律平等に選手の話を聞く機会を設けたい。努力や能力で差がつくのは当然ですが、それは個々の希望や方向性を団体が受け止めた先の話です。それが私が組織のトップとして、スターダムという団体や選手、ファンに向けた、真剣な思いであり、愛です」

　今回、岡田社長に1時間あまりインタビューして感じたのは、徹頭徹尾“普通のこと”しか言っていないということだ。普通のこととは、つまり“まともなこと”でもある。もちろん、現状では選手のメンタルをケアすることが何より重要だ。その上で、新体制がどんな“プロ集団”を作るのか。ここからが真の意味での“新生スターダム”になる。