核心にシュートを!BACK NUMBER
実は“三笘薫50mドリブル突破”の起点は町田浩樹だった「冨安健洋とともに信じきれなかったのか…」大胆起用・森保采配に“共感した後の切なさ
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/02/09 17:03
町田浩樹は冨安健洋とのコンビをすでに試されていた。実は今大会のキーパーソンは、背番号15だったのかもしれない
もちろん森保監督はそのようなシーンを把握済みだろうし、実際に多くの試合を見ていることは選手たちの多くも認めている。それは代表監督として尊敬に値する。
そうした前提を踏まえたうえで、バーレーン戦の試合開始時や、イラン戦の途中からに限っては、町田がプレーした方が良かったのではないかと感じる。
大会中、森保監督が話していた“選手起用の話”
そんな意見は「結果論だ」と一蹴されそうだが――そうではない。最後にひとつだけ触れておかなければいけないことがある。
1月25日、森保監督は大胆な選手起用についてこんな話をしていた。
「(試合ごとに)これだけ選手を代えている監督はいないと思うんです。親善試合の1試合目と2試合目をガラッと代えるというのは(結果が出なかったときには)批判にもつながりますから。公式戦の中でも、11月もミャンマー戦とシリア戦で(大幅にスタメンを)代えたりしました。11人をどう組み合わせて、どういう試合ができるかという想像が以前よりできるようになった。だから、(多くの選手を)使えるというか、代えられるようになったのかもしれないですね」
この話を聞いているとき、筆者は強くうなずいた。
一介の記者として、カタールW杯以降、試合ごとに選手を大幅に入れ替えるという森保監督の戦略について各媒体で賞賛してきた。W杯優勝までには最大で8試合を戦わなければならないから、大会中に付け焼き刃的にローテーションをしたところで難しい。「W杯優勝」という大きな目標にむけて、ロジカルなトライだと受け止めたからだ。
同時に、監督の方針は日本人として誇らしく思えた。世界的に見てもオリジナリティがあり、野心的な起用法は夢を見させてくれるものだった。
だからこそ、第1回から取り上げてきたイラン戦でのCB起用は――森保監督自らが、W杯や23年の代表戦で日本人に与えた夢や希望をつぶしてしまったように感じた。
それは、一人の記者、そして一人の日本人としても、あまりにむなしい結末だった。