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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「本当に悔しかったです」駒澤大・大八木弘明総監督(65歳)が明かした“箱根駅伝総合2位”の真相…藤田監督に「これから求められるのは…」
text by
加藤康博Yasuhiro Kato
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/02/04 11:00
インタビューに答える大八木弘明(2022年撮影)
「欲を言えば、篠原はもう少し早めに仕掛けていれば、後ろとの差を更に広げられたかもしれませんが、力通りの走りだったと思います。(鈴木)芽吹も権太坂の下りから勢いに乗り切れなかった面はありますが、ずっと単独走でこのタイムですので、こちらも想定以上。(佐藤)圭汰もいいスタミナを見せたと思います。ただ並ばれたことで、動揺が生まれたことは確かです。世界で戦うことを見据えれば、どんな展開でも気持ちの強さと自信を走りで出せるようにならないといけませんが、20km以上のレースを走るのが初めてでしたし、十分と言えるでしょう。
全員、合格点の走りですよ。この3人がこれだけの走りをしても前に出られなかったことについては“なんでだろうな”というのが正直な感想です。箱根までの練習や調整などの準備を振り返っても後悔や、やり残したことはありません。ですので、選手にはこの悔しさを忘れずに、でも次の目標に向かって頑張ろうと前向きに声をかけました」
「箱根も大切ですが…」大八木が考えていたこと
悔しさを口にしながらも、大八木が納得した表情を見せるのは、3名の2024年パリ五輪挑戦への手応えが感じられたためである。
ひとつは箱根まで含めて、3名が安定した結果を残し続けたこと。そろって出雲駅伝、全日本大学駅伝と好走し、加えて11月27日の八王子ロングディスタンス10000mでは佐藤が日本人学生歴代2位となる27分28秒50、鈴木が同3位の27分30秒69、篠原が同5位の27分38秒66と圧巻の結果を残した。これは2023年の日本ランキングでも10位以内に入るものだ。
「それも目一杯で走ったという感じではなく、疲労もあまり残りませんでした。ですので、レースが終わって箱根に向けた強化合宿へとすぐに移行できましたし、箱根でも想定以上の走りができました。強い選手というのはどんな舞台でも強く、外さない力を求められます。彼らは今季走った試合はすべてで高いレベルを維持していますし、レースを通じて強くなっていることを確認できました」
駒澤大のエースは11月下旬、もしくは12月上旬にトラックで記録を狙うことが多い。2年前には田澤廉が10000mで27分23秒44の日本人学生最高記録を出し、その後の箱根も好走した。そして今回の3人も今年5月に行われるパリ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権10000mへの出場権を手にすることを目指し、記録を狙った。田澤のタイムにこそ及ばなかったが、上記の通り日本トップクラスの走りであり、その目的も達成したと言っていい。
「箱根も大切ですが、日本のトップを争う場に立ちつづけることも大切です。そうしないと世界を目指すスタートラインに立てませんから。その両立はほぼできたと考えています」