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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「本当に悔しかったです」駒澤大・大八木弘明総監督(65歳)が明かした“箱根駅伝総合2位”の真相…藤田監督に「これから求められるのは…」
text by
加藤康博Yasuhiro Kato
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/02/04 11:00
インタビューに答える大八木弘明(2022年撮影)
篠原、鈴木、佐藤の“パリ五輪への挑戦”
箱根での結果から見えたもう一つの手応えはスタミナ強化の成功を確認できたことである。パリ五輪出場を目指す戦いがここから本格化するが、スタミナ面においては、それを果たせるレベルまできたと感じられたという。今後はスピード強化に注力していけることが分かったのは何よりの収穫といえる。
箱根後、アメリカに渡った佐藤は1月26日、マサチューセッツ州のボストン大学で行われた室内競技会「ジョン・トーマス・テリア・クラシック」5000mで13分9秒45の室内日本新記録を樹立し、パリに向け、好発進した姿を見せた。4名はこれから再度、合流し、アメリカ・アルバカーキでの合宿を敢行し、3月16日にカリフォルニア州ロサンゼルスで行われる中長距離の競技会「The TEN」10000mに出場予定だ。そして先に挙げた5月3日の日本選手権10000mが2024年シーズン前半の最初のターゲットとなる。5000mでパリ五輪出場を狙う佐藤はコンディション次第で出場の可否を決めることになりそうだが、できればここでどこまで日本のトップと戦えるかを見たいと大八木は話す。
「昨年12月の日本選手権10000mのトップ5は塩尻和也選手、太田智樹選手、相澤晃選手、そして駒澤大OBの田澤と小林歩でした。この5人にうちの3人がどこまで食らいつけるかを見たいんです。普段の練習を見ていても間違いなく田澤との差は縮まってきていますし、芽吹、篠原はこの種目でパリ五輪出場を目指しますので、ハイレベルな戦いをしてほしいと思っています」
箱根は大きな目標であり、同時に世界に向けた通過点だ。このスタンスは監督時代から変わらず、むしろ総監督となり、指導者として世界を目指す取り組みを加速させたことでより強くなった。
藤田監督への本音評価「これから求められるのは…」
そして愛弟子であり、監督として箱根初陣を果たした藤田敦史の1年をこう評価した。
「非常によくやっていると思います。ただ今季、駅伝で1年生を1回も使えませんでした。今年度は上級生が強かったので仕方がない面もありましたが、これから求められるのはその部分でしょうね。先を見据えて育成しながらも、持てる力を引き出し、チャンスを与えていく。そうしたことができるようになれば選手層はより厚くなるでしょう」
来年の箱根はまた楽しみですよ。そう言って大八木は快活に笑った。
《後編に続く》