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「海外ではベビーカーを押して来るジョッキーがいた」女性騎手→調教師として出産、宮川真衣が語る「日本の競馬界で“母親”になる難しさ」 

text by

大恵陽子

大恵陽子Yoko Oe

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2024/02/12 06:02

「海外ではベビーカーを押して来るジョッキーがいた」女性騎手→調教師として出産、宮川真衣が語る「日本の競馬界で“母親”になる難しさ」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

調教師の父のもとに生まれ、騎手として海外にも遠征した宮川真衣(旧姓:別府)。調教師となった後、出産した宮川に話を聞いた

朝4時起きは「騎手の時に比べて2時間ゆっくり」

――ご主人のように騎手は深夜から調教に乗っているため、昼間に仮眠を取る人が多いですけど、調教師になってからは仮眠を取っていないんですか?

宮川 騎手の時に比べて朝が2時間くらいゆっくりなので、そんなに昼間は眠たくなりません。出産前は深夜3時に厩舎に行っていたんですけど、息子をあんまり朝早く起こすのもかわいそうだなと思ったのと、厩務員にとっても朝が早すぎるのは辛いかなと思って、今の時間に変えました。

――レース中、1歳の息子さんはどうしているんですか?

宮川 レース前に馬に鞍をつける作業などがあるので、実家に連れて行っています。夫は金曜日の夜から調整ルームに入っていて不在ですし、私も管理馬に何かあれば駆け付けないといけないので、金土日は実家に頼りっきりです。

競馬場内に欲しい託児所

――高知競馬は最終レースが21時前。そこに管理馬の出走があると、息子さんは実家で先に寝ていますか? 

宮川 私がいないとあんまり寝ないので、実家でご飯を食べさせてもらって、自宅に連れて帰って夜10時くらいまでに寝させます。

――お父様も調教師で、実家が競馬場や自宅からも近いからこそできることでもありますね。そう考えると、競馬場の中に託児所があると随分便利でしょうね。

宮川 ホントあれば楽ですね。例えば馬の近くで作業をする装鞍の時などレースの合間の10分間だけ息子を見ていてほしいとか厩舎での作業中数時間だけ預けたいということが多いです。それだと街中の託児所には預けづらくて、競馬場内に子連れで使える部屋があれば、と出産して仕事復帰する時に提言したんですけど、「需要がないですから」と言われてしまいました。私以外にそういったケースがなく、私も何となくいまの体制でできてしまっている。ただ、これから同じ境遇になるママさんのことを考えると環境面も変わっていく必要があるのでは? と考えています。

――お子さんを生む前と後で厩舎運営に変化はありましたか?

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