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大型補強・浦和レッズ練習試合にミシャ、鬼木、黒田監督が熱視線…「そこから降りるな」「ドミネート」ヘグモ流が興味深い〈J1キャンプレポ〉
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2024/01/26 17:04
ベガルタ仙台とのトレーニングマッチに出場したチアゴ・サンタナ
それゆえ、ピッチ上でのプレー選択にさほど迷いが生じず、チーム作りも比較的スムーズに進んでいるように見える。
立ち位置固定のチーム作りがヘグモ流なら、Aチーム、B&Cチームと序列やチーム分けがはっきりしているのもヘグモ流だ。
ポジションによって多少の入れ替えはあるものの、練習では明確に分けており、メンバーを交ぜながらトレーニングを進めることがほとんどない。
「ここまでで感じるのは、戦術理解をかなり求めているということ。メンバーを分けがちなんですけど、その選考を見る限り、戦術理解度をベースに考えているのかなって」と小泉は推測する。
どのようなオプション、応用編を持っているのか
たしかにAチームで起用されているのは、勝手にアドリブを入れることなく、指揮官の求める役割や立ち位置をしっかり守り、それを高いクオリティで体現している選手たちのように感じられる。戦術浸透を加速させるには、メンバーを固定してしまう方が早いのは間違いないが、それによって競争原理が損なわれたり、控え組がモチベーションを下げてしまっては元も子もない。その辺りの指揮官のマネジメントは気になるところだ。
言うまでもなく、現状では相手チームによる分析・対策も容易だろう。仙台戦を観戦したペトロヴィッチ監督は「うちのオールコートマンツーマンを剥がせるかな?」と、鬼木監督や黒田監督は「うちのプレッシングをかい潜れるかな?」と内心、ニンマリしているかもしれない。
クオリティや精度をさらに上げていくことはもちろんだが、現状はあくまでもベースであって、ここからどんなオプションを身につけ、応用編に進んでいくのかに注目したい。実際にヘグモ監督が指揮を執っていたスウェーデンのヘッケンはシステムを可変させながら相手を動かし、自分たちが使いたいスペースを生み出していた。28日には就任後初めての囲み取材が予定されているため、今後の展望について指揮官に直撃してみたいと思う。
トレーニングは非公開ではなく、フルオープン
トレーニングのほとんどを非公開にするチームもあるなかで、メディアやファン・サポーターにフルオープン(室内調整を除く)しているのもヘグモ流。新体制発表会での「私の練習の7割が攻撃に関するものだ」との証言に偽りなし――ここまでのトレーニングでは、8割くらいを攻撃に費やしている印象すらある。