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大型補強・浦和レッズ練習試合にミシャ、鬼木、黒田監督が熱視線…「そこから降りるな」「ドミネート」ヘグモ流が興味深い〈J1キャンプレポ〉
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2024/01/26 17:04
ベガルタ仙台とのトレーニングマッチに出場したチアゴ・サンタナ
「インサイドハーフは相手のディフェンスラインとミッドフィールダーの中間のところ、チームでは『ポケット』と呼んでいるんですけど、『ポケットに常にいろ』『そこから降りてくるな』と言われています」
そう明かすのは、インサイドハーフに入ることの多い伊藤敦樹である。実際、インサイドハーフの選手たちは、ビルドアップのヘルプに入ることがない。いわゆるライン間に立ってボールを引き出し、センターフォワードやウイングとのコンビネーションを使ったり、裏に飛び出したりして、攻撃に厚みを生み出している。
「インサイドハーフは10点取らないといけない」
センターフォワードを務めることの多い興梠は、「ウイングが高い位置にいて、そこを起点に崩していく狙いがチームコンセプトにあるから、横パスだけじゃなく、真ん中を崩すことによってサイドが空いてくる。そういう意味では1トップとシャドー気味の3人のコンビネーションも大事になってくる」と語ったが、「シャドー」と呼びたくなるほどインサイドハーフの立ち位置は高く、求められる役割もフィニッシャーに近い。
そのことを裏付けるように、伊藤や同じくこのポジションに入ることの多い関根貴大は「監督から『インサイドハーフは10点取らないといけない』と言われています」と口を揃えた。
インサイドハーフがビルドアップに関わらないぶん、攻撃時にカギを握るのがアンカーと両センターバックの配球力だ。
現状では選手たちの配置を大きく崩すことなく、敵陣へと侵入していく。相手2トップに2センターバックがプレッシャーを掛けられていても、アンカーがディフェンスラインに落ちることはなく、アンカーがマークされていてもインサイドハーフがヘルプに行くこともない。配置を固定しながらセンターバックやアンカーからボールをサイドバックやウイング、インサイドハーフに入れて、サイドアタックを中心に攻撃を加速させていく。
岩尾いわく「監督は『ドミネート』という言葉を」
「監督は『ドミネート』という言葉を使っていて。『支配する』という意味なんですけど、そういうベースのもとで縦パスを選択するのか、サイドチェンジしてスペースを有効的に使うのか、ふたつの支配の仕方があると思っています」
そう説明するのは、アンカーを任されることの多い岩尾憲である。さらに岩尾の「立ち位置的なカオスを作らず、概ねそれぞれの立ち位置を守りながら」「それぞれの役割がはっきりしていて、立ち位置が整理されているので、自分が情報を得るときに、リアクションではなくクリアになった状態でプレーが選択できる」といった言葉からも、現時点では立ち位置や役割がかなり固定されていることがお分かりいただけるだろう。