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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
箱根駅伝優勝の大本命、駒澤大はなぜ圧倒的に強い? 2年生・伊藤蒼唯に聞いた「他大学との違い」前回は6区区間賞も「区間にこだわりはない」
posted2023/12/30 06:08
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Nanae Suzuki
昨シーズン箱根駅伝から21区間連続で首位を譲らず、圧倒的な強さを見せる駒澤大学。今回の箱根駅伝には、2年連続の3冠が懸かっている。その3冠へのカギとなるのが前回の箱根駅伝で5区と6区を走った山川拓馬(2年)、伊藤蒼唯(2年)だ。1年生ながら箱根の山区間で優勝を確実にする激走を見せた2人に前回の箱根駅伝からこれまで、そして大学での競技環境について話を聞いた。「伊藤蒼唯」編(「山川拓馬」編はこちら)
衝撃的なデビューだった。
前回の箱根駅伝6区でいきなり大学駅伝デビューを果たした伊藤蒼唯(当時1年)は、下りに入ってから加速し、スタート時、30秒だった差を47秒に広げる区間賞の走りで7区、安原太陽(当時3年)に襷を渡した。大八木弘明総監督が「伊藤の走りが大きかった」と勝因に挙げるほどの快走だった。
「いや、6区はキツかったです」
伊藤は、1年前を振り返り、そう語る。
区間賞も「体ができていない」
「6区に決まったのは、大会直前でした。コースを頭に入れていたわけではないですし、最高点に行くまでの上りと箱根湯本からの3kmの平地は、対策がほとんどできていなかったんです。体力的にすごくしんどかったですし、動いていないなぁって思いながら走っていました」
テレビ画面から見た伊藤は、終始落ち着いていて、ラスト3kmも余力があるように見えた。
「ぜんぜん余裕なかったです。ラストは、ちょっとでも力をいれたら足が全部つりそうになる感じで(苦笑)。やっぱり下りのダメージが相当ありました」
下りは、宮ノ下付近で角度が落ちて、緩やかな下りになっていくのだが、そこでスピードが落ちてしまうとラストの3kmのスピードを維持できなくなる。伊藤は、スピードを落とさずに粘ったがゆえに区間賞を獲れたが、課題も見えた。
「6区を走り終えて感じたのは、アップダウンに耐えられるだけの体ができていないということ、スピード持久力が足りないということでした」
自己ベストでも「まだ、スピード持久力が足りない」
2年生になり、伊藤は課題の克服に取り組んだ。