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「武豊は何度でも帰ってくる」ドウデュースで有馬記念を制した武豊がレース後に…不屈の天才騎手から届いた“恩人への鎮魂のメッセージ” 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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posted2023/12/25 17:03

「武豊は何度でも帰ってくる」ドウデュースで有馬記念を制した武豊がレース後に…不屈の天才騎手から届いた“恩人への鎮魂のメッセージ”<Number Web> photograph by JIJI PRESS

有馬記念を制したドウデュースと武豊。千両役者がクリスマスイブの中山競馬場で劇的な復活を遂げた

武豊から届いた返信「今日、月命日なんですよね」

 レースの数時間後、武に祝福のメッセージを送った。少し経って返信が来た。

「有り難うございました! 今日、伊集院さんの月命日なんですよね」

 それを見て泣きそうになった。先月24日に73歳で世を去った作家の伊集院静氏は、武の媒酌人をつとめたほか、普段から相談相手になるなどしていた恩人だ。私にとっても同じで、拙著に帯文を寄せてくれたり、作品が文庫化されたとき解説の執筆者に指名してくれたりと、返し切れない恩をプレゼントしてくれた。

 こんなときも大切な人への思いを忘れないのが武豊という男なのだ。

 きっと、天国の伊集院氏が武とドウデュースに追い風を吹かせてくれたのだろう。

「人から受けた恩は、ほかの誰かに返していけばいい」

 伊集院氏の教えである。

 武は勝つことで多くの人々を幸せにし、それが伊集院氏への恩返しにもなっている。

 最後は、レースレビューらしくない内容になってしまった。

 素晴らしいイブのグランプリだった。ジャパンカップの3~5着馬が順番を変えて1~3着となったわけだが、2着だったリバティアイランドや、菊花賞を勝ったドゥレッツァなど、今回出走していなかった馬たちとの対決という先の楽しみも与えてくれた。

 武の言葉ではないが、来年も、「やっぱり競馬はいいな」と思える年になりそうだ。

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