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シュヴァルグランの“大食い”も再現、TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』はキタサン世代をどう描いたか【ウマ娘考察#6】
posted2023/12/29 18:00
text by
屋城敦Atsushi Yashiro
photograph by
©2023 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」製作委員会
本稿では、主人公キタサンブラックのラストシーズンを描いた第10~11話を振り返る。今回も、モチーフとなった史実との共通点や、『ウマ娘』ならではのこだわりを楽しんでいただきたい。全7回の第6回/初回から読む
3対子は弱い
【第10話】
冒頭で描かれたチーム<スピカ>の部室のシーンでは、バランス練習をしているキタサンブラックの姿があった。史実では、馬体評価の際に“均整の取れた好馬体”というフレーズが毎回のように見られるほど、バランスのいい馬であったことが知られている。
スペシャルウィークはキタサンブラックの次走予定が宝塚記念と聞き、「宝塚かあ、グラスちゃん……」とつぶやいている。彼女の脳裏に蘇ったのはおそらく、TVアニメ第1期第8話でも描かれた、1999年の宝塚記念をモデルとした伝説のレース。直前の天皇賞(春)を制して勢いに乗っていたスペシャルウィークだったが、グラスワンダーのマークにハマり完敗を喫している。
なお、部室にある4カ条に「4. 3トイツは弱い」と書いてあるが、これはマージャンでよく言われている“3トイツ(対子)最弱理論”なるものが元ネタだろう。
トレセン学園地域合同イベントには、さまざまな露店が出店されている。地域名産物産店では、史実で高知競馬所属だったハルウララと岩手競馬所属だったユキノビジンが売り子を務め、それぞれ"かみどめ"、"岩咲桜"など各地の銘菓をモチーフしたであろう商品を販売していた。
グラスワンダーとゴールドシップの会話は…
ふれあい動物ひろばには、メイショウドトウとタイキシャトルの姿が。この組み合わせは、実際にこの2頭がNPO法人“引退馬協会”のフォスターホースとして、ヴェルサイユリゾートファーム→ノーザンレイクと、同じ牧場でともに過ごしていたことから生まれたものだろう。またメイショウドトウの周りには、ボス猫“メト”やヤギたちなど、放牧地でいつもいっしょにいる面々をモチーフにしたであろう動物たちの姿もあった。